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看護職員の賃金引き上げが実現

12 月 22 日に総理に提出された公的価格評価検討委員会の「中間整理」において は、「今般の経済対策を踏まえ、まずは、地域でコロナ医療など一定の役割を担う 医療機関に勤務する看護職員について、収入を 3%程度引き上げていくべきである。」 と記載されました。既に令和 3 年度補正予算において 2022 年 2~9 月の1%程度 の引き上げは国からの補助金として措置されていますが、10 月以降は 3%程度の 引き上げを行うべきということです。同時に「中間整理」では、「看護師の処遇改 善に関して、今回の処遇改善の取組が確実に賃上げにつながることを担保することを、令和 4 年度診療報酬改定の中で検討すべき」とされました。
これを受け、同日、政府は、令和 4 年度の診療報酬本体の改定率をプラス 0.43%、 うち、「看護の処遇改善のための特例的な対応」としてプラス 0.20%とすることを 決定しました。その内容は、救急医療管理加算を算定する救急搬送件数 200 台/年以上の医療機関及び三次救急を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、10 月 以降収入を 3%程度(月額平均 12,000 円相当)引き上げる処遇改善の仕組みを創設 し、確実に賃金に反映されるよう適切な担保措置を講じるというものです。
(日本看護協会プレスリリース 12月23日)

看護師の処遇改善について、政府の公的価格評価検討委員会は「中間整理」にこう書いている。
<従前より全産業平均を上回る賃金水準である看護師については、今般の経済対策を踏まえ、まずは、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に 勤務する看護職員について、収入を3%程度引き上げていくべきである>
<管理的立場にある看護師の賃金が相対的に低いこと、民間の医療機 関であっても国家公務員の医療職の俸給表を参考としている場合が多いことも 指摘されており、今回の措置の結果も踏まえつつ、すべての職場における看護師 のキャリアアップに伴う処遇改善のあり方について検討すべきである>
 ただ、処遇改善の対象になる看護職は、救急医療管理加算を算定する救急搬送件数 200 台/年以上の医療機関及び三次救急を担う医療機関に勤務者である。対象人数は発表されていないが、看護職全体のごく一部だ。
看護職全体に退職を拡大することは、財源確保だけでなく、他の医療職との公平性の観点から相当難しいのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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