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違法な時間外労働があった事業場は40.5% 厚労省が公表

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厚生労働省は5月1日、昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果を公表した。
今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる 8904 事業場に対して集中的に実施した。
重点監督の結果、違法な時間外労働があった事業場は3602 カ所(40.5%)。うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80 時間を超える事業場は913カ所(25.3%)だった。
賃金不払残業があった事業場654カ所(7.3%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施の事業場は1832カ所(20.6%)、過重労働による健康障害防止措置が 不十分なため改善を指導した事業場は3443 カ所(38.7%)だった。(厚生労働省報道発表 5月1日)

労働基準法違反が解消されることはなく、事業者と労働基準監督署はいたちごっこを繰り返してゆく。それが現実だ。

厚生労働省は監督指導事例も公表した。ある小売業の事例で、この事業場では、 労働者31名に1カ月80時間を超える時間外・休日労働が認められ、うち1名については、36協定で定めた上限時間(特別条項:月99時間)を超える1カ月100時間以上の時間外・休日労働(最長:月162時間)が認められたほか、2カ月平均80時間を超える時間外・休日労働も認められた。

この事業場は、常時50名以上の労働者を使用しているにもかかわらず、衛生管理者及び産業医を選任していなかった。
労働基準監督署は、この事業場に対して4つの対応を行った。

①36協定で定める上限時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基 準法第32条違反)
②1カ月100時間以上及び2カ月平均80時間を超えて時間外・休日労働を行わせたことについて是正勧告(労働基準法第36条第6項第2、3号違反)
③時間外・休日労働を月80時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導
④衛生管理者及び産業医の選任について是正勧告

指導に対して改善が実行され、遵法体質が定着することを願いたい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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