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キャリア官僚、出世望めなくても…「定年まで勤務」急増

20181113

定年退職する国家公務員の割合が増えている。内閣人事局の退職手当のデータなどを元に朝日新聞が集計すると、最新の2016年度は全退職者の58%と、07年度より約20ポイント増えた。天下り禁止などで再就職しづらくなった影響とみられ、人員構成の高齢化につながっている。
16年度には、任期制の自衛官などの特殊ケースを除いた退職者約2万1千人の58%に当たる約1万2400人が定年で退職した。07年度では、退職者約3万3千人のうち定年退職は37%の約1万2千人。
一方、勧奨退職は急減。同期より昇進が遅れてポストがなくなったキャリア官僚らが外郭団体に天下るときなどに使われ、従来10%以上を占めていたが、09年9月に天下りあっせんが本格禁止されたためだ。13年度には、勧奨退職に代わって「応募認定」(45歳以上の早期退職者を募集)が始まり、3~7%を占める。
自己都合の退職も減っている。07年度の45%がほぼ右肩下がりで少なくなり、16年度には26%になった。
(朝日新聞デジタル 11月4日)

天下り問題がこれほど問題視されなかった10年近く前に、経済産業省のキャリアOBに聞いた話である。キャリア官僚の次官・審議官候補者以外の多くは50代前半で退職し、退職金で住宅ローンを完済して、天下りするのが通例だったという。
このOBも大手IT企業の取締役に天下っていた。勧奨退職が行われていたわけではないが、誰もが通例を受け入れて、退職していったそうだ。
「役所に在籍しつづけても昇進できませんし、民間企業に天下れば役員として迎えられるので、給料が大幅にアップします。だから皆居座らないで、どんどん辞めていくのです」(OB)
天下りが禁じられればキャリア官僚の“旨味”は減る。入省時に抱いていた青雲の志もとうに消えているだろうから、定年まで普通の勤め人として無難に過ごすのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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