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6月実質賃金、2.8%増=21年半ぶり伸び、賞与増加

厚生労働省が7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、名目賃金から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比2.8%増で、2カ月連続のプラスだった。好業績を背景に企業が賞与を増やしたためとみられ、日本の金融危機前の1997年1月(6.2%)以来21年5カ月ぶりの高い伸び率を記録した。
賞与など特別に払う給与は7.0%増の18万3308円。名目賃金に当たる現金給与総額も3.6%増の44万8919円と、同じく21年5カ月ぶりの大幅な増加となった。
ただ、厚労省は「賞与の支給時期は年により前後することがある」(雇用・賃金福祉統計室)と指摘。賃金の動向について、来月以降の結果を注視する必要があると判断している。
現金給与の賞与以外の内訳は、基本給など所定内給与が1.3%増の24万5918円、残業代など所定外給与が3.5%増の1万9693円。消費者物価指数は0.8%の上昇だった。
(時事通信 8月7日)

賃上げは転職者にもおよんでいる。厚生労働省の調査では、2017年に転職者の4人に1人が転職によって賃金が増えたという。人材紹介会社社長が実態を説明する。
「これまで40歳を過ぎて転職すると給料は良くて前職と同等で、多くのケースでは下がっていました。本人も収入減を覚悟のうえで転職していました。ところが、昨今は給料が上がるケースは珍しくありません。上場の準備段階に入ったベンチャー企業では、40歳以上の部長職を年収1500万円程度で採用する例もあります」
ただ、賃上げが景気にプラス効果をもたらすかどうかは不透明である。
賃上げは人手不足対策の特効薬だが、消費税が10%に増税されれば消費は冷え込み、東京五輪後に過去に繰り返された五輪後不況が到来すれば、賃上げ分は貯蓄に廻るだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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