2015/11/20
島根県浜田市が4月に始めた試みがにわかに注目を集めている。ひとり親世帯を呼び込もうという政策だ。市内の介護職場での勤務を条件に、養育費や家賃の補助だけでなく、移住時に一時金も支給する。地域の介護の担い手不足のため、ひとり親家庭に焦点を当てた政策だが、他の市からは「そこまでやるのか」といった声も出る。10月、大阪府、愛知県からそれぞれ2人の女性が転入してきた。
「移住先先進地」の伊達市でも市長の菊谷が「都市部で離職した若い人やシングルマザーを呼び込む仕組みを考えたい」と話す。
(日本経済新聞 11月13日)
浜田市の取り組みは、ひとり親世帯の足元を見透かして誘導しているようにも見え、あまり感じのよい政策ではない。だが、雇用、家賃、養育費の3つが保証され、2人が移住したのだから、ニーズはあった。自治体も必死、ひとり親世帯も必死なのだ。
人口減対策と介護人材の確保。浜田市はこの2つの課題を同時に解決する政策を実行したのだが、一時的には成果が出ても、経済的なインセンティブは即効薬にすぎない。
一部の自治体や社会福祉法人が関心を示している日本版CCRCも、政府が創設した新型交付金1000億円をアテにしたのでは、一過性のバラマキ事業に終わってしまう。地域づくりには、千葉県佐倉市のユーカリが丘のような長期的な取り組みが望ましいが、そうは言っていられないほど地方の実態は逼迫しているのだ。
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