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企業が求める人材像、「コミュニケーション能力が高い」が30.6%でトップ

帝国データバンクは、全国1,333社を対象に、企業が求める人材像についてアンケートを行った。
 少子高齢化と慢性的な人手不足を背景に、空前の売り手市場といわれる令和の就活。新卒と中途のどちらを主に採用しているか尋ねたところ、「新卒採用がメイン」は18.9%で、「中途採用がメイン」は81.1%となった。企業規模別でみると、「大企業」は「新卒採用がメイン」(55.2%)が「中途採用がメイン」(44.8%)を上回った一方で、「中小企業」は「中途採用がメイン」が8割を超え、「小規模企業」は9割を超えた。
規模が小さくなるほど、新卒採用の難しさや即戦力の確保、欠員補充のしやすさ、教育コストの削減といった観点から、中途人材を求めている様子がうかがえる。
続いて、企業にどのような人材像を求めているか尋ねたところ、「コミュニケーション能力が高い」(30.6%)がトップとなり、「真面目、または誠実な人柄である」(29.2%)、「意欲的である」(28.4%)が続いた(3つまでの複数回答)。コミュニケーション能力や真面目さなど協力して働く際に大事な要素が上位にあがった。
他方、「専門的なスキルを持っている」や「AIやデジタル技術を活用できる」は低位にとどまった。採用時においては性格や素質を重視し、スキルや技術は入社後に習得できると判断している企業が多いとみられる。
(帝国データバンク 10月22日)

帝国データバンクの調査で、人手不足のなかで経験者を求めながら、採用時には技術より人柄や素質を重んじる傾向が浮かび上がった。
専門知識や技術は入社後に学べる。一方、周囲と意思を通わせ、誠実に役割を果たす力は協働の土台になるが、学んで身につくとは限らない。人柄を重視すること自体は不思議ではない。
しかし、「コミュニケーション能力」という言葉は幅が広い。異なる意見を調整する力なのか、上司の意図を察する力なのか。意味を曖昧にしたまま選考基準にすれば、企業にとって扱いやすい人を選ぶだけになりかねない。
中小企業や小規模企業ほど中途採用への依存が高いことは、育成に時間をかけにくい事情を映している。即戦力を求めながら、専門スキルは入社後に身につけられると考えるなら、採用後の学びを支える仕組みが欠かせない。採用は人を選ぶ場であると同時に、入社した人が力を発揮できる環境を整える出発点でもある。
 しかし、人柄か、スキルかという二者択一ではない。採用時に何を見極め、何を入社後に育てるのか。その境目には、企業が人の可能性をどう捉えているかが表れる。採用の場で見えているのは、その人が今できることの一部にすぎない。まだ備わっていない力も含めて、その人とどのような仕事をつくっていけるか。人を迎えることは、そこから先の時間を引き受けることでもある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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