2026/10/14

2026年度上半期(4-9月)の「人手不足」倒産は、240件(前年同期比17.0%増)と過去最多を記録した。コロナ禍の2021年度同期の26件を底に、5年連続で前年同期を上回った。調査を開始した2013年以降の年度上半期では、これまで最多だった前年同期(205件)を抜いて最多を更新した。
特に、「人件費高騰」が130件(同75.6%増)と1.7倍に大幅に増加し、「人手不足」倒産の半数超(54.1%)を占め、賃上げ圧力が中小企業の資金繰り悪化に拍車を掛けている実態が浮き彫りとなった。
2026年度上半期の「人手不足」倒産は、資本金1千万円未満が159件(前年同期比33.6%増、構成比66.2%)と6割を占め、形態別では破産が229件(同23.7%増、同95.4%)で大半を占めた。
産業別では、サービス業他91件(前年同期比21.3%増)、建設業55件(同5.7%増)の2産業で6割(60.8%)を占め、労働集約型の産業で倒産が目立つ。
大手と中小・零細企業との賃金格差は拡大している。10月以降、全国で最低賃金が引き上げられ、物価高と人件費上昇のなかで“賃上げ疲れ”が顕在化し、「人手不足」倒産は増勢が続いている。
(東京商工リサーチ 10月5日)
「人手不足」とは病名であって、病因ではない。「人手不足」倒産は、2026年度上半期に240件と過去最多を更新した。21年度同期の26件から5年連続の増加である。この現象は労働力の絶対的な不足というより、人を確保・維持するための費用を負担しきれない企業が退出している、と読むべきだろう。実際、要因別では人件費高騰が130件、54.1%と過半を占め、前年同期比75.6%増と最も伸びが大きい。
倒産の姿も偏っている。資本金1000万円未満が66.2%、破産が95.4%で、再建を試みる余地もなく清算に至る小規模企業が大半である。事業を組み替える前に、資金が尽きているのである。
産業別ではサービス業他と建設業で60.8%を占め、売上に占める人件費の比率が高い業種に集中する。賃金上昇の影響は、費用構造によって不均等に現われる。
賃上げは必要だが、その原資は価格転嫁か生産性の向上でしか賄えない。大手は賃金で人材を引き寄せ、中小・零細は取引価格を動かせないまま追随を迫られる。この非対称が格差を広げ、10月からの最低賃金引き上げはその圧力をさらに強める。
賃上げ疲れとは、賃上げそのものへの反発ではなく、原資を欠いたまま支払いだけが先行することへの消耗を指す。したがって問うべきは賃上げの是非ではなく、賃上げを支払える条件が整っているかである。
「人手不足」という呼称は、問題の所在を外部環境に置き、対価の設計という内部の課題を見えにくくする。転嫁を可能にする取引慣行と、省力化への投資支援を欠いたまま賃上げを求めれば、淘汰は市場の選別ではなく制度の帰結になる。
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