Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

OKI、特別退職支援制度で特損100億円計上 業績予想は据え置き

情報通信機器を手掛けるOKIは29日、7月に公表した特⁠別退職支援制度の応募結果を発表した。連結ベースで668人が応募し、特別退職金の総額は約100億円となる見込み。2027年3月期第2・四半期決算で特別損失として計上する。27年3月期通期の連結業績予想は修正しない。
 同制度は、OKIおよびグループ会社に所属する、26年10月31日時点で満55歳以⁠上かつ勤続10年以上の正社員と、定年退職後に⁠再雇用された人が対象。8月17日から9月25日まで募集した。退職日は10月31日で、通常の退⁠職金に特別加算金⁠を上乗せして支給する⁠ほか、希望者には再就職支援サ⁠ービスを提供する。
 応募者のうち、OKI単体は369人を占めた。
(ロイター 9月29日)

OKIの特別退職支援制度には668人が応募し、特別退職金の総額は約100億円となる見込みだ。2027年3月期第2・四半期決算では特別損失として計上する一方、通期の連結業績予想は修正しない。この組み合わせに、今回の施策の意味が表れている。
希望退職の対象を中高年社員とし、人件費を圧縮するとともに、DXやAIなどによる事業変化に合わせて人材構成を入れ替えることは、いまや珍しい経営手法ではない。むしろ注目すべきは、会社が約100億円という大きな一時的負担を引き受けてまで、組織の転換に踏み出している点である。
企業にとって人員構成の変更には時間がかかる。自然減や採用抑制だけでは、必要なスキルを持つ人材への転換がいつ進むか分からない。今回の制度は、その時間を買うための支出とも読める。100億円はたんなる「削減額」ではなく、将来の事業構造へ移るために会社が先に負担する移行コストなのである。
もちろん、退職する側から見れば、それまで積み上げてきた経験を会社の外へ持ち出すことになる。長年の経験が、新しい事業にそのまま生かせるとは限らない一方、経験そのものが古くなったと決めつけることもできない。企業が新しい能力を求めるとき、過去の経験をどこまで残し、何を手放すのかという判断は難しい。
人員削減の成否は、100億円を投じた後に、どのような仕事と人材の組み合わせが生まれるのか。そこまで見届けて初めて、この大きな支出の狙いが分かる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。