2026/09/28

日本では、88.2%もの上司が部下の育成に悩みを抱えているとされる。なぜ日本企業では「指示待ち部下」が生まれやすいのか。背景にある日本特有の組織の問題点とは?『世界の一流は「部下」に何を教えているのか』(クロスメディア・パブリッシング)から一部を抜粋。元グーグル人材育成統括部長が、世界の第一線で実践されるマネジメント術を紹介する。
(中略)
欧米企業では、フィードバックを重ねても対象者の行動が改善されず、十分な成果が得られない場合、速やかに配置転換や解雇に向けた検討が開始されます。
問題をそのまま放置することは、チーム全体に対する裏切り行為であると認識されており、個人の事情を優先するのではなく、組織が定めた基準を遵守することが鉄則となっているからです。これが、日本企業との大きな違いといえます。
日本企業では、2~3年のサイクルで人事異動があったり、地方転勤があったりしますが、欧米企業や外資系企業に定期の人事異動はありません。
(中略)
欧米企業や外資系企業では、「Pay for Performance」(成果に応じた報酬)という考え方が徹底されているため、成果の有無がすべてのカギを握っています。
人事異動に限らず、昇給や昇進でも、国籍や性別、勤続年数、学歴は一切関係なく、仕事の成果やパフォーマンス、スキル、ポテンシャルの高さが決め手となります。
(Japan Innovation Review 9月8日)
日本企業と欧米企業の違いを、「成果主義か年功主義か」という言葉だけで捉えると、人の働く姿が見えなくなる。問われているのは、成果の上がらない人を組織がどう扱うか、その人にどこまで可能性を見ようとするかである。
記事によれば、欧米企業ではフィードバックを重ねても改善がなければ、配置転換や解雇の検討に入る。一方、日本企業には2~3年ごとの人事異動や地方転勤がある。日本企業は、人と仕事の組み合わせを変えることで、人を組織の中に残す仕組みを持ってきたともいえる。それは、人を生かす知恵である一方、問題を別の場所へ移し、責任を曖昧にする仕組みにもなり得る。
欧米型にも別の危うさがある。成果が出なければ早く見切る仕組みは合理的だが、人の価値を目の前の成果だけで測ることになる。上司が変わり、仕事が変わり、経験を重ねることで、眠っていた力が現れることもあるように、現在の成果だけでは測れない「これから」の時間がある。
組織には、その可能性を見る責任がある。同時に、可能性を信じることを理由に、成果を上げている人たちに負担を押しつけてはならない。個人を守ることと、組織の公平を守ることは、どちらも人への責任だからである。
「Pay for Performance」が教えるのは、何を成果と呼び、どの時間で人を評価するのかという、組織の人間観そのものでもある。人を簡単に切り捨てないが、無条件に抱え続けもしない。その難しい均衡の中で、人間の尊厳と組織の規律をともに守ろうとするところに、マネジメントの成熟がある。
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