2026/09/04

自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害や精神疾患の診断を受けた人の76.5%が、就職活動の際に自身の診断結果を伝えた経験がないと答えたことが23日、日本財団の調査で分かった。不採用などの不利益を被ると懸念したのが主な理由。障害者手帳を持っておらず、一般の採用枠で就活した人に聞いた。
障害者差別解消法は、手帳の有無に限らず全ての障害者への「合理的な配慮」を企業に義務付けている。採用試験で時間延長を認めることなどを求めているが、障害を伝えられなければ配慮を受ける機会を失う。平等な就労機会の確保のため、障害を開示しやすい環境づくりが課題だ。
調査は昨年12月~今年2月にオンラインで実施した。2018年4月以降に国内で就活・就労経験がある664人から回答を得た。
就活で診断結果を伝えた人は7.6%、伝えた・伝えないを両方経験した人は15.9%。伝えなかった理由(複数回答)は「開示して不採用になったことがある、不採用を危惧」が最多で66.4%だった。
(共同通信 8月22日)
日本財団の調査で、発達障害や精神疾患の診断を受けた人の76.5%が、就職活動で診断結果を伝えた経験がないと答えた。しかも、理由の66.4%が「開示して不採用になったことがある、不採用を危惧」である。
この数字が示すのは、障害への理解が不足しているというだけではない。制度の上では「配慮を受ける権利」があっても、それを申し出た瞬間に採用上の不利益を受けるかもしれないという、制度と現実の深い断層である。
障害者差別解消法は、障害者手帳の有無にかかわらず、合理的な配慮を企業に義務づけている。ところが、配慮を受けるにはみずから障害を伝えなければならない。つまり現実には、権利を行使するために、自分が不利益を受けるかもしれない情報を先に差し出さなければならない。これは制度設計として奇妙な構造ではないのか。
「開示しやすい環境をつくる」という言葉も、本人の勇気に期待するだけでは解決にならない。開示した人と、開示しなかった人の採用後の定着率や評価、配慮の実績などを企業が検証し、採用の判断に障害が影響していないことを示す必要がある。
平等とは、全員を同じ条件で選考することではない。違いを伝えても不当に扱われないと信じられることだ。76.5%という数字は、障害者が制度を知らない数字ではない。制度を利用することに、まだリスクを感じている人がこれほど多いという、社会への信頼の数字である。
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