2026/08/27
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主要企業の技術者らに先端半導体の設計を指南する政府肝いりの人材育成事業が、苦戦している。開始から1年で、参加は想定の半分以下にとどまる。次世代半導体の国産化をめざす「ラピダス」の成否にも影響しかねない。
事業主体は、ラピダスの研究開発を支えるために2022年に発足したLSTC(技術研究組合最先端半導体技術センター)。経済産業省が資金面などで後押しする。
事業への参加募集は25年5月から始めた。国内の主要企業から工学部電気系卒業程度の素養のある社員らを集め、米国の半導体企業の拠点で1~2年かけて最先端の技術を学んでもらう。
参加費は無料だが、滞在や渡航の費用は企業側の負担になる。事業期間は5年間の予定で、渡米しない基礎的なコースを含め、国の予算は推計で約70億円という。5年間で約135人の育成を想定する。電機や自動車、電子精密産業などの50社以上に参加を呼びかけた。
しかし最初の1年で募集した28人の枠に申し込んだのは15人。2人が欠け、実際の参加は13人にとどまる。2年目も募集を続けているが、企業側は先端半導体市場の成長をはかりかねている面があるようだ。
(朝日新聞 8月14日)
先端半導体の人材育成事業が、初年度28人の募集に対して応募15人、実際の参加13人にとどまった。この数字を「企業の関心が低い」と読むだけでは、本質を見誤るだろう。むしろ問うべきは、政府が約70億円を投じ、5年間で約135人を育成するという計画と、企業が人材を送り出す経済合理性との間に、なぜこれほど距離があるのかである。
企業にとって、1~2年間社員を米国に送り、滞在・渡航費まで負担することは、たんなる研修ではない。社員の時間とキャリアを先端半導体に賭ける意思決定である。ところが、参加企業が将来の市場規模を見通せないなら、技術を学ばせるほど投資回収の不確実性が高まる。
企業が躊躇しているのは、優秀な人材ほど、既存の事業組織の中では活躍の道が見えにくくなるからではないか。先端半導体を1~2年かけて学んだ人材は、これからの事業を構想する人材になる。企業にとってこれは「研修」ではなく、人材の用途そのものを変える「投資」である。
ここに政府の人材育成策の盲点がある。企業は将来の産業に必要な人材を育てることには賛成できても、その人材を自社の現在の組織にどう位置づけるかは別問題である。つまり、人材を育てる前に「将来の仕事」を先につくらなければならない。
13人という数字は、単純な技術者不足を示しているのではない。まだ市場として見えていない未来のために、優秀な人材を投資できるか。その難しさを示す数字である。
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