2026/08/20

2026年1-7月に判明した人手不足倒産のうち、従業員や経営幹部などの退職が直接・間接的に要因となった「従業員退職型」の倒産は、合計で83件判明した。前年同期(74件)に比べて9件・約12.2%多く、コロナ禍の2022年以降、5年連続で増加した。このペースで推移した場合、初めて年100件を超えた前年(124件)を大幅に上回り、単年で過去最多の更新が確実となっている。
2026年の「従業員退職型」倒産を業種別にみると、最も多いのが「サービス業」(22件)で全体の26.5%を占めた。老人福祉施設や美容室といった業界での発生が多かった。「建設業」(20件)は、1-7月として初めて20件台に到達した。現場作業を担う職人や営業担当者が相次いで退職し、事業運営が困難になったケースが目立った。また、「運輸・通信業」(12件)では貨物自動車運送などの業種を中心に前年同期(8件)から増加し、1-7月として初めて10件を超えた。
近年発生した従業員退職型倒産をみると、2025年以降は特に、足元のコストアップ分をサービスや商品価格に転嫁できないことで「賃上げ原資」を確保できず、事業の中核を担うキーマンの流出を止められないケースがみられた。
(帝国データバンク 8月7日)
「人手不足倒産」という言葉は、いかにも企業側から見た言葉である。人が不足しているのではない。企業が、人を引き留めるだけの条件を提示できなくなっているのである。2026年1~7月、従業員や経営幹部の退職を直接・間接の原因とする倒産は83件。前年同期比12.2%増で、2022年以降5年連続の増加となった。このままなら前年の124件を大幅に超え、過去最多を更新する。
注目すべきは、その内訳である。サービス業22件、建設業20件、運輸・通信業12件。老人福祉、美容、建設、物流――いずれも人間の労働そのものが商品やサービスの核心にある産業である。そこでは機械に置き換えることのできない技能や経験を持つ人間が辞めれば、会社という器だけが残る。
しかも背景には、コスト上昇を価格転嫁できず、賃上げ原資を確保できない企業の姿がある。これは「働き手がいない」のではなく、「働き手に報いる経済的余力を企業が失った」という問題である。
かつて企業は人を囲い込み、その忠誠を経営資源とした。いま、その人が企業を選び返している。企業が人を消費する時代から、人が企業の価値を見極める時代へと移り変わった。倒産件数の増加は、その逆転を告げる数字なのである。
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