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6月の求人広告件数、6.4%増 ドライバー需要が拡大

 人材サービス会社でつくる全国求人情報協会(全求協、東京・千代田)が24日発表した6月の求人広告件数(週平均、職種別集計)は前年同月比6.4%増の253万5229件だった。人手不足感が強い物流業界の求人需要が活発となり、全体の広告件数の伸びをけん引した。
全求協は主要15媒体の求人広告件数を集計している。前月比では1.5%増え、件数は2025年4月以来1年2カ月ぶりの高水準となった。
 前月比で21職種のうち10職種で増加した。増加が目立ったのはトラックやタクシー運転手などを含む輸送・機械運転で15.3%増の19万5435件だった。電子商取引(EC)の利用拡大などを背景に物流業への需要が増えるなか、労働力不足が解消できていない。
リクルートグループのシンクタンク、インディード・ハイアリング・ラボ(東京・千代田)の青木雄介エコノミストは「トラック運転手は免許取得が必要なため新たな担い手が増えにくい。今後も労働需給は逼迫する可能性が高く、賃上げの流れも続きそうだ」と指摘する。
全求協は人材情報会社の営業担当者らを対象に、企業の求人意欲を聞く「求人広告ウォッチャー調査」も公表した。求人意欲の指数(100に近づくほど高い)は6月時点で正社員が58.9と、前回3月(62.6)から低下した。
(日本経済新聞 7月24日)

数字の羅列が雄弁に社会の溝を語っている。6月の求人広告件数は253万5229件、前年同月比6.4%増、前月比でも1.5%増え、2025年4月以来1年2カ月ぶりの高水準だという。だが驚くべきは、その中身である。21職種のうち増えたのは10職種に過ぎないのに、輸送・機械運転だけが前月比15.3%増の19万5435件と突出した。物流という現代社会の血管に、血液がまるきり足りていないのだ。
ECの拡大は荷物を増やし、荷物は運び手を求める。だが運び手は免許という関門に阻まれ、一朝一夕には増えない。青木雄介氏が指摘する「労働需給の逼迫」は、構造そのものが変わらない限り解消しない。賃上げという処方箋は対症療法にすぎず、根治の薬にはなり得まい。
一方で正社員の求人意欲指数は58.9で、3月の62.6からむしろ低下している。現場は悲鳴に近い声を上げているが、経営はなお慎重な構えを崩さない。人が足りないと嘆きながら、正面から雇う覚悟は鈍る。この矛盾が続く限り、労働需給の逼迫は解消しない。
かつて豊かさとは、望むものが滞りなく届くことであったが、今は、届けてくれる担い手そのものが枯渇しかけている現実に直面している。統計の背後に座る一人ひとりの運転席を、どれだけの人が想像し得るだろうか。
便利さを享受する者と、その便利さを支える者との間には、深い溝が横たわっている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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