2026/08/06

業務用食品卸売の岩田産業(福岡市)は、人材育成をさらに強化するため、役職や成長段階に応じた新たな社内塾制度をスタートした。講師は社長、役員、統括、支店長、部長など、それぞれの分野で経験を積んできた社員が講師となり、7つの能力・70項目の育成基準をもとに、自らの成功体験だけでなく、失敗や苦労、そこから得た学びまでを率直に伝える。
研修会社では伝えることのできない現場の実体験を共有することで、受講者は「知識」だけでなく、「実践力」や「判断力」を学ぶことができる。また、講師自身にとっても、自らの経験を体系化して伝えることが成長につながり、学び合う企業文化の醸成にもつながっている。
社内塾では、人材育成に必要な能力を「CM力」「指導力」「環境創り」「業務遂行力」「管理力」「理論」「企画力」の7つに体系化した。さらに、それぞれの能力について10項目、合計70項目の行動基準を設定している。
例えば、「部下へ毎日声を掛けているか」「心理的安全性を高める行動ができているか」「OJTを定期的に実施しているか」「真因分析や戦略的思考ができているか」など、日々の行動に落とし込める内容を盛り込んだ。知識だけではなく、「実際に行動できる人材」を育てることを重視している。
(岩田産業グループホールディングス作成ニュースリリースを要約 7月24日)
人を育てるということは、結局のところ、誰の言葉で語るかに帰着する。岩田産業が始めた社内塾は、その問いに正面から答えている。
外部の研修会社が伝えられないものがある。現場で実際に躓き、迷い、それでも判断を下してきた者の言葉である。この社内塾では、社長も役員も支店長も、みずからの成功だけでなく失敗と苦労までを語る講師となる。地位ある者が失敗を語ることは、口で言うほど容易ではない。それを制度として組み込んだところに、この取り組みの誠実さがある。
研修体系も具体的である。「CM力」「指導力」「環境創り」「業務遂行力」「管理力」「理論」「企画力」の7つの能力、そして70の行動基準。「部下へ毎日声を掛けているか」「心理的安全性を高める行動ができているか」といった項目は、抽象論を排し、日々の所作にまで落とし込まれている。
たとえば「真因分析や戦略的思考ができているか」という一項は、知識の点検ではなく、思考そのものの型を組織に根づかせようとする意志の表れだろう。講師自身にとっても、経験を語ることは経験を整理し直す作業である。伝える側が学び直し、受ける側が実践を学ぶ。この往復こそが、学び合う文化と呼ぶにふさわしい。
岩田産業の社内塾は、派手な標語を掲げてはいない。ただ、70の具体的な問いを、日々みずからに向け続けているだけである。その地道さに、潜在能力を開花させる力が宿っている。
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