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30〜40代の「新・キャリア迷子」の正体とは?

ZaPASS JAPAN(東京都千代田区)が運営するキャリアコーチングサービス「ZaPASSコーチングキャリア」は、本サービスに申し込んだ30〜49歳のアンケート回答者からランダムに抽出した有効回答398名を分析した。
分析から見えたのは、キャリアの悩み・相談内容が年齢とともにはっきりと変わっていくことである。30代前半では「成長したいが、何をすればいいか分からない」という“成長焦燥”の悩みが中心である一方、年齢が上がるにつれて「自分の思考の癖を変えたい」という声が一貫して強まり、この項目を選ぶ割合は30代前半の1.5%から40代後半の17.1%まで一貫して増加した。
キャリアコーチング検討者には、昇進の階段を待つのではなく、転職やプロジェクト単位で自らキャリアを組み立ててきた層が多い。変化の速い業界(IT・コンサルティング・広告/メディア等)に所属する方が上位を占め、約半数がすでに複数の企業・職種を経験している。
コーチングに期待することの上位は「在りたい姿」の明確化(34.2%)と「自己認知」を深めること(27.1%)で、合計61.3%。一方、全体では7.0%・6位にとどまる「思考の癖などを改善すること」だけが、年齢別に見ると4つの年齢区分すべてで一貫して増加した。
「思考の癖などを改善すること」は30代前半1.5%→30代後半7.2%→40代前半10.6%→40代後半17.1%。年齢が上がるほど、キャリアの壁は「成長焦燥」から「思考の癖」へ移っていく。
(ZaPASS JAPAN作成ニュースリリースを要約 7月21日)

 ZaPASS JAPANの398名調査が浮かび上がらせたのは、数字の背後にある人間の時間の感覚である。30代前半の1.5%が40代後半には17.1%へと膨らむ「思考の癖」への関心は、たんなる比率の変化ではない。それは、外側に向けられていた眼差しが、次第に内側へと折り返される軌跡そのものだ。
30代前半の「成長焦燥」は、まだ世界を変えられると信じる者の焦りである。何をすればいいか分からないあまま走り出す姿は、行動が思考に先行する時代の若さの証しだろう。だが約半数が複数の企業・職種を渡り歩いてきたという事実は、この層がすでに階段ではなく、みずからの足で道を刻んできたことを示している。経験の蓄積は、やがて問いの質を変える。
変化の速い業界に身を置く者たちが、この結果の中心を占めている事実も見逃せない。IT、コンサルティング、広告やメディアの現場は、常に外部の変化に適応することを迫られる。だからこそ、その視線はやがて自分の内側の癖へと向かわざるを得なくなるのだろう。
コーチングへの期待の61.3%が「在りたい姿」と「自己認知」に集中する一方、全体ではわずか7.0%に過ぎない「思考の癖の改善」だけが、4つの年齢区分すべてで一貫して増加した事実は重い。これは統計上の偶然ではなく、経験を重ねた者だけが辿り着く自己批評の地平を示している。行動の量では解けない壁に、経験を重ねながら気づくのだ。
キャリアの壁は、成長への焦りから、自己の癖という内なる敵へと静かに移ってゆく。それは老いの兆しではなく、成熟への覚醒である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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