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ケガや病気による長期間療養時の給与補償制度を導入

自社ブランド「SHIRO」の開発や店舗運営などを行うシロ(東京都港区)は、2026年4月にケガや病気による長期間療養時の給与補償制度である「ライフサポートⅡ制度」を導入した。当社は22年4月~26年3月まで年次有給休暇とは別で「ライフサポート休暇」を付与し、社員の健康管理を目的とした制度を設けていた。
26年4月、家族との時間や趣味、勉強など、仕事以外の時間を充実させることで、新たな気づきや学びを仕事や社会への価値につなげていくことをめざし、「週休2.5日制」を導入した。同時に導入した「ライフサポートⅡ制度」は、安定的な制度運営のためにGLTD制度(団体長期障害所得補償制度)を活用している。
この制度は、病気やケガで30日以上働くことができない状態となり、30日を超えてもその状態が続いている場合、もしくは一部職場復帰しているが収入が20%超減少している場合に収入の一部を補償する。
補償は ①会社補償 と ②個人の上乗せ補償(補償額買増しオプション) の2段階で加入することが可能で、在籍中だけでなく、ケガや病気が治らないまま退職を余儀なくされた場合でも、補償は満70歳まで継続する。また、要介護状態となったご家族の介護を行うために、社員が就業規則に定める「介護休業」を取得した際の所得喪失(収入の減少額)を補償する。
(シロ作成ニュースリリースを要約 7月7日)

 化粧品会社シロが導入した「ライフサポートⅡ制度」は、病気やけがによる長期療養時の所得補償に加え、退職後も七十歳まで補償を継続し、さらに家族の介護による収入減少まで対象に含めた点で注目に値する。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によれば、法定外福利厚生費を支出している企業は約7割にとどまり、その内容も住宅や慶弔関係が中心である。長期所得補償や介護支援を制度として整える企業はなお少数であり、同社の取り組みは先進的といえる。
しかし、この制度の価値は福利厚生の充実という言葉だけでは測れない。企業は長い間、働く時間を管理することで労働を支えてきた。ところが人口減少と人材流動化が進む今日、問われ始めたのは、働けなくなった時間をどう支えるかという責任である。
週休2・5日制の導入も、労働時間の短縮そのものが目的ではない。仕事の外側にある暮らしや学び、人との関わりを失わないことが、結果として企業の持続性につながるという認識への転換である。
こうした制度を導入できる企業は限られる。資本力の乏しい中小企業に同じ水準を求めることは現実的ではないが、それでも病気や介護を個人の問題として処理する時代は、とうに終わった。働く人を一人の生活者として支えることは企業の慈善ではなく、成熟した社会を支える新しい契約のあり方である。
福利厚生制度の価値は、利益を生む仕組みにではなく、人が安心して生きる時間を社会に取り戻そうとする意思のなかに見出せる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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