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コンサル業界 就職人気も…AI台頭で“狭き門”に「若手の下っ端が大リストラ」

市場全体を見渡すと、国内のコンサルティング業界の規模は従業員数・市場規模ともに年々拡大している。番組内で紹介された「東大生の主な就職先(2025年卒)」のデータによれば、アクセンチュアやマッキンゼー・アンド・カンパニー、EYストラテジー・アンド・コンサルティングなど、上位20社中7社をコンサル企業が占めており、学生からの人気は極めて高い。  
しかし、好調な市場の裏で、業界内部では大きな構造変化が起きている。経営コンサルタントの日沖健氏は、現在の大手コンサルのビジネスモデルについて「パートナーと言われる上層部の人が営業し、プロジェクトはマネージャーが回す。そして、リサーチャーと言われる下っ端が調査を行っている」と、明確な階層に分かれたピラミッド型の構造を説明。その上で、「現在アメリカなどでは、ものすごい勢いで調査業務などがAIに置き換わっており、1万人規模のリストラが行われている」と指摘し、AIの導入が「下働き」の需要を消滅させつつある現状を語った。  
日沖氏はこのAIによる業務代替が、逆にコンサル業界全体の市場規模をさらに爆発的に押し上げると予測している。
(ABEMATIMES 6月21日)

東大卒業生の就職先上位20社のうち7社をコンサル企業が占めるという事実は、この国の秀才たちの羅針盤が商社や官僚機構から「知の仲介業」へと傾いた時代の証左であるが、その輝かしい外観の内部で、すでに地殻変動が始まっていることを彼らは知っているだろうか。
大手コンサルティングファームでは、AIの進化により基礎的な調査業務の約3割が代替可能だという指摘が現われ、数千から数万規模の人員削減が広がっている。一方でAIやデータの専門家を大幅に増員し、削減と採用を同時に進める「選別的再編」が進行している。
AIはたんなる効率化ツールではなく、労働集約型ピラミッドの底辺を確実に消去しつつある。
問いはここから始まる。調査という「下働き」を失ったコンサルティング産業は萎縮するのか、それとも飛躍するのか。マッキンゼーは自社が100年近く蓄積した10万件以上の内部文書をAIに学習させ、他社には模倣不可能な知的参入障壁を築こうとしている。人間の思考の代替ではなく、人間の経験の増幅こそがAI時代のコンサルの本質的な価値源泉となるだろう。
知を売る産業が、知の機械化によって、より高次の知へと押し上げられる。これは淘汰ではなく、進化である。東大卒の俊英たちが向かう先は、安定した官僚制度の残影ではなく、AIと人間の境界線上に立つ、まだ誰も名づけていない職能の地平なのかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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