2026/06/19

ヤブシタホールディングス(札幌市中央区)は、グループ19社目としてOurs(ウール/東京都港区)を設立した。創業60年を迎えたヤブシタは、空調・冷熱部材トップシェアを有し、太陽光架台や照明部材などの設計・製造・販売を行っている。
ウールは、ヤブシタグループの社内AI研修から生まれた会社で、生成AIを活用した動画制作、CG制作、画像制作、デザイン制作、営業資料・提案用ビジュアル制作、SNS向けコンテンツ制作を行う。
社長に就任したのは入社3年目・20歳の長谷瑠佳である。長船は入社当初、AIに触れた経験はなかったが、研修と日々の業務を通じて、文章生成、画像生成、動画制作、CG表現などを学び、生成AIを活用したPR動画制作に取り組んだ。その動画は、短時間で制作されたものでありながら、ヤブシタグループの技術やサービスを直感的に伝える力を持っていた。
その可能性がヤブシタホールディングス代表の森忠裕の目に留まり、新会社設立につながった。ヤブシタグループは、AIをたんなる効率化ツールではなく、若手人材の可能性を広げ、新規事業を生み出す武器として位置づけている。
(ヤブシタホールディングス作成ニュースリリースを要約 6月8日)
創業60年という歳月は、たんなる数字ではない。それは冷熱と光という、人が快適に暮らす根底を支えてきた技術の蓄積であり、北の大地から産業の下部構造を担い続けた意志の結晶である。空調・冷熱部材のトップシェアとは、競争に勝ったというよりも、社会のインフラとして選ばれつづけた信任に近い。
そのヤブシタが、生成AIという新しい言語を手にした20歳に、グループ19社目の経営を委ねた。長谷瑠佳氏は、入社当初AIに触れた経験を持たなかった。しかし、研修を通じて文章・画像・動画・CGの生成を習得し、ヤブシタの技術と理念を可視化するPR動画を短時間で制作してみせた。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの試算では、生成AIは生産性向上を通じて、年間2.6兆ドルから4.4兆ドル((約370兆〜630兆円)
の付加価値を創出し得る。
だがその本質は数字にではなく、「誰が使うか」という人間的な問いの中にある。代表の森忠裕氏が長谷氏の制作した動画に見たのは、あるいは完成品の品質ではなかったかもしれない。60年の製造業の語法が、20歳の感性によって新しい映像言語へと翻訳される——その臨界的な瞬間に、経営者として賭けたのではないのか。
AIをたんなる効率化ツールではなく、若手人材の可能性を広げる武器と位置づけるヤブシタの哲学は、「技術の発展こそが社会の変化を決める」という技術決定論への安易な傾斜を拒否し、人間を主語に置き直す。それは老舗製造業が持つ静かな矜持にも見える。
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