Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

北海道内事業所にて対象職種で就労すると奨励金・支援金を支給

ヒューマンアカデミー(東京都新宿区)は、北海道庁の「人材確保支援事業」を受託した。1カ月以上の離職期間がある求職者が道内事業所の人手不足が深刻な職種に就職し、対象職種に31日以上在職した場合、就労者及び雇用した道内事業者双方に、奨励金最大20万円、支援金10万円を支給する。
 令和8年度北海道労働局行政運営方針によると、北海道は少子高齢化が全国より早いペースで進んでおり、医療・介護・保育・建設・警備・運輸等をはじめとした幅広い分野で人手不足が深刻化していることが示唆されている。生産年齢人口の減少という構造的な課題に直面する中、道内の多くの企業が人材確保に苦慮している状況である。
この事業では、求職者が道内事業者の人手不足が深刻な対象職種に就職し、労働時間が週20時間以上かつ31日以上在職した場合に、就労者に奨励金10万円(離職期間1年以上の場合10万円加算)、事業者に支援金10万円 (1回限り)を支給する。
対象職種は、建築・土木・測量技術者、医療技術者、保健医療関係助手、保育士、幼稚園教員、福祉・介護、飲食物調理、警備員、製品製造・加工処理工(金属製品)、機械整備・修理工、貨物自動車運転、バス運転、乗用車運転、建設躯体工事、建設、土木、電気・通信工事などである。
(ヒューマンアカデミー作成ニュースリリースを要約 5月24日)

北海道の人口は2025年1月1日時点で504万4825人。前年比4万9158人減で、減少数は全国で最も多かった。ピーク時の98年から約60万人が消えた。数字とは無縁に見える広大な原野も、じつはこの静かな崩落の内側にある。
50年には総人口が10年の7割、生産年齢人口に至っては5割強にまで縮小するという推計が示されている。半世紀を待たずして、北の大地は担い手の半数を喪う。医療・介護・保育・建設・運輸といった、人が生きるために欠かせない営みを支える職種ほど、その空洞化は深刻である。
北海道庁がヒューマンアカデミーに委託した人材確保支援事業は、この構造的な亀裂に対して打たれた、ひとつの楔である。1カ月以上の離職期間を経た求職者が対象職種に就き、週20時間以上・31日以上在職した場合に、就労者へ奨励金最大20万円、雇用事業者へ支援金10万円を支給する。制度の設計は明快で、就労者への誠実さを感じさせる。
しかし問われるべきは、金銭的誘因の効力が及ぶ射程の深さである。1年以上の離職者への加算措置は、長期離職者の就労意欲を掘り起こそうとする意図をもつ。だが慢性的な人手不足の根は、賃金水準・労働環境・地域の将来展望という、より根深い地層に届いている。10万円の奨励金は就職の扉を開く力をもつかもしれないが、扉の先に続く廊下が暗ければ、人はやがて引き返す。
この事業が真に機能するか否かは、マッチングの精度と、就職後の定着支援の厚みにかかっている。奨励金はあくまでも入口である。北の大地の亀裂を埋めるためには、一時的な誘因を超えた、継続的な就労環境の整備と地域社会の再生という、より長い時間軸での構想が不可欠であろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。