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今春の大学生就職率98.0% 過去2番目の高水準

今春に大学を卒業し、就職を希望した人の4月1日時点の就職率が98.0%だったことが22日、厚生労働省と文部科学省の調査で分かった。統計を取り始めた1997年春卒以降では、2025年などに並ぶ過去2番目の高い水準。物価高騰など経済情勢に不透明感が漂う中、学生優位な「売り手市場」が継続している状況が浮き彫りになった。  
厚労省の担当者は、少子高齢化などを背景に「企業側の人手不足基調が続いている」と分析。その上で「求人側からは『若手が欲しいが採用できない』という声が多く聞かれた」とした。  
大学生就職率の過去最高は24年の98.1%。  
就職率は就職希望者に対する就職者の割合で、大学生は、国公私立大計62校を抽出して調べた。男女別では、男性97.5%(前年同期比0.1ポイント減)、女性は過去最高となる98.7%(同0.2ポイント増)だった。文系98.0%(同0.2ポイント減)、理系98.1%(同0.8ポイント増)だった。
 短大生は前年同期比0.4ポイント増の97.4%だった。
(共同通信 5月22日)

厚生労働省と文部科学省が公表した2026年春卒業生の就職率98.0%という数値は、一見すると、労働市場の健全性を証明するかのように映る。女性に至っては過去最高の98.7%を記録し、理系も前年比0.8ポイント増の98.1%と伸長した。だが、この華やかな統計の裏側に潜む構造的な歪みに目を向けないと、現実を把握できない。
「売り手市場」という言葉は、学生の側に主導権があるかのような印象を与える。しかし実態は異なる。少子高齢化が生み出した人口動態の必然として、企業は若年労働力を渇望しているのであり、そこに産業構造の革新や付加価値の向上など積極的な動機は見えてこない。
厚労省担当者が漏らした「若手が欲しいが採用できない」という企業側の嘆きは、まさにその焦りの告白に他ならない。
問題の核心はここにある。企業が若者を求めるのは、少子化という外部環境の圧力に押されてのことであり、彼らの能力や専門性への評価からではない。物価高騰が続く経済環境の下で、新卒一括採用という旧来の慣行に依然として縛られた日本企業は、労働市場の量的逼迫に対し、質的な労働環境の改善ではなく、採用競争の激化という形で応じているに過ぎない。
さらに見逃してならないのは、この統計が「就職希望者」を母数としている点だ。就職を断念した者、進学や留学に活路を求めた者、あるいは社会の周縁に追いやられた者は、この輝かしい数値の外に静かに置き去りにされている。98.0%という数字は、労働市場全体の姿ではなく、希望を持つことのできた者たちだけの世界の断片である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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