2026/05/07

パーソルキャリアが発表した3月の転職求人倍率は前月比0.01ポイント減、前年同月比0.12ポイント減の2.39倍だった。転職求人倍率は同社に登録している求人数を転職希望者数で割った数字である。
求人数は前月比 0.8%増、前年同月比 9.2%増、転職希望者数は前月比1.3%増、前年同月比 14.5%増。求人数と転職希望者数がいずれも伸びたが、転職希望者の伸び率が求人数を上回ったので、転職求人倍率は下がった。
転職求人倍率が業種別で最も大きかったのは人材サービスの102.1%。桜井貴史「doda」編集長は「アウトソーシング企業や、転職サービスを提供する企業を中心に法人営業職の採用の動きが目立った。背景には、新年度の事業計画に基づき、2月ごろから採用を再開・拡大する企業が増加したことが挙げられる」と分析する。
転職希望者が増加した背景は「中東情勢の緊迫化を背景とした原油高や資材供給不安、円安などを受け、小売・流通、メーカーを中心に景気の先行き不透明感から不安が強まり、転職に踏み出す人が増えたことが考えられる」(桜井氏)という。
(パーソルキャリア作成ニュースリリースを要約 4月24日)
3月の転職市場に漂う空気は、春の陽気ほどには明るくない。パーソルキャリア発表の転職求人倍率は2.39倍。前月比で0.01ポイント、前年同月比で0.12ポイント低下した。倍率そのものはなお高水準で、求人が希望者を上回る売り手市場に見える。
だが、数字の襞に指を入れると、別の表情が現われる。求人数は前年同月比9.2%増であるのに対し、転職希望者数は同14.5%増。市場を押し上げているのは企業の旺盛な採用意欲だけではなく、現在の職場にとどまることへの不安なのである。
この「不安の転職」は、景気拡大局面の能動的な移動とは質を異にする。doda編集長・桜井貴史氏の分析では、中東情勢の緊迫化による原油高、資材供給不安、円安が、小売・流通、メーカーを中心に先行き不透明感を強めたという。たしかに原油価格上昇は物流費と電力費を押し上げ、円安は輸入コストを増幅する。帝国データバンクが近年繰り返し指摘してきたように、価格転嫁力の弱い企業ほど収益圧迫を受けやすい。働く者が企業財務の陰りに敏感になるのは自然である。
一方で、業種別に人材サービスが102.1%と突出したことは示唆的だ。人手不足が人材紹介・派遣需要を呼び、その需要がまたこの業界の採用を膨らませる。いわば不足が不足を再生産する循環に入り、人を探す会社が、自社の人まで探さなければならない。
2.39倍という数字は、好況の証しではない。雇用の流動化と、生活防衛としての転職志向が同時進行するという、時代のやや翳った鏡像である。市場が活況に見えるほど、そこで働く個人の胸中には、静かな警戒心が深まっている。
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