2026/05/04

東京商工リサーチは今年3月31から4月7日、企業向けに退職代行について調査を実施した。その結果、弁護士や労働組合以外の退職代行業者から連絡があっても、30.4%の企業が、非弁行為が含まれる可能性があり、取り合わないことがわかった。退職代行から連絡を受けた企業30.4%で、残業代請求や退職日に関する調整などの「非弁行為」に触れる可能性のある通知を受けた経験をしていた。
退職代行業者を利用した従業員の退職は、大企業21.3%に対し、中小企業7.8%で、大企業は中小企業の2.7倍多かった。大企業で退職代行の利用が多いのは、退職手続きが整備され、退職代行でもしがらみなく退職しやすい心理が働いているとみられる。
業種別は、最多が「宿泊業」の24.1%、次いで警備会社なども含む「その他の事業サービス業」の19.4%が続く。消費者と直接対面し、シフト制などの多い宿泊業で利用の割合が高かった。
採用活動に、求職者の退職代行の利用歴の影響は、多い順に「利用歴が分かった場合、採用に慎重になる」49.3%、「利用歴が分かった場合、採用しない」26.0%、「利用歴は採用に影響しない」23.7%。サービス利用者は一度立ち止まり、退職代行の手法に法的問題がないか確認が必要なフェーズに入ってきたようだ。
(東京商工リサーチ作成レポートを要約 4月21日)
ネット空間に「退職代行」のサービス案内が並ぶ光景には、便利さの歪みが投影されている。東京商工リサーチ調査によれば、退職代行利用による退職は大企業で21.3%、中小企業で7.8%。宿泊業では24.1%に達した。数字は、このサービスが例外ではなく労働市場の一部となったことを示しているが、非弁行為による逮捕事案が発生するなど、成熟に向かうかどうかを展望できる段階ではない。
退職の意思表示は、本来、労働契約を終える当事者自身の重大な決断である。そこには担当業務を説明し、引き継ぎ、関係を清算する最低限の責務がともなう。上司の威圧、執拗な慰留、未払い賃金の争いなど、本人が直接向き合えぬ事情があるなら第三者の介入は正当であり、弁護士や労組の役割は大きい。
しかし、気まずい、面倒だ、声を上げるのが億劫だという理由まで外注されるなら、それは権利行使ではなく、いわば人格の委任である。
企業側が利用経験者に慎重になるとの回答49.3%、採用しない26.0%という結果も、たんなる報復感情と断じるのは早計だろう。採用とは、知識や技能だけでなく、困難な局面で当事者として意思表示できるかを見る営みでもある。退職という出処進退の局面を他者に丸投げした履歴に、責任感や対話能力への疑念を抱くのは、一定の合理性をもつ。
同時に、企業にも免罪符はない。30.4%が代行業者から非弁行為に触れる通知を受けたという調査結果は、本人が直接辞意を告げにくい職場風土の存在も映している。人を追い詰める会社と、面倒を避ける個人。双方の未成熟が、非弁行為という影を引きずりながら退職代行市場を肥大させたのである。
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