2026/05/01

共同通信社は19日、主要企業111社に実施した2027年度入社の新卒採用に関するアンケートをまとめた。前年度実績より「減らす」と回答した企業は1年前の前回調査から11ポイント増加の23%(25社)で、「増やす」と回答した企業を5年ぶりに上回った。調査からは人手不足に一服感が見られる。一部では、人工知能(AI)が業務を代替し始めている。
27年度計画で採用数を「増やす」と回答した企業は16%(18社)、「前年度並み」が35%(39社)、「未定」が22%(24社)、無回答は5%(5社)だった。
「減らす」と答えた企業に理由を尋ねたところ「デジタル対応を通じた省人化」との回答が16%(4社)で最多だった。「生成AIの活用をはじめとした業務効率化」(村田製作所)に加え「即戦力のキャリア採用を強化する」(積水ハウス)といった声もあった。
アンケートは3月中旬から4月上旬に回答を得た。27年度入社は27年4月~28年3月の就職と定義した。
(共同通信 4月20日)
共同通信の調査は、数字の表面以上に時代の転調を語っている。主要企業111社のうち、新卒採用を「減らす」とした企業が23%に達し、「増やす」の16%を5年ぶりに上回った。人手不足が常態化した日本企業が、ここへ来て採用抑制へ舵を切りはじめた。この変化は景気循環の小波ではない。労働の意味そのものが書き換えられつつある兆候である。
注目すべきは、減員理由の最多が「デジタル対応を通じた省人化」であり、村田製作所が「生成AIの活用をはじめとした業務効率化」と明言した点だ。従来、AIは補助線として語られてきた。だが今や補助線は主線となり、人間の側が余白へ追いやられはじめた。新卒採用とは、企業が未来への時間を買う行為である。その未来投資を削ることは、若者の潜在力よりも、即効性のあるアルゴリズムを信じる選択にほかならない。
即戦力を求めるキャリア採用の強化が広がっていることも、この流れを後押ししている。
キャリア採用の強化は日本型雇用の柱であった育成主義の後退を示すが、企業の新人教育機能が低下すれば、その費用と不安は社会へ転嫁される。大学は就職予備校化し、若者は未経験であること自体を負債として背負わされる。
もちろん111社調査で日本経済全体を断ずることはできないが、主要企業の判断は雇用慣行の先行指標である。焦点は、採用の減少が一時的な調整にとどまるか、構造変化へ進むかだけでなく、AIによって浮いた利益を人材再教育へ回す意思があるかも含まれる。もし人材再教育が手薄になれば、企業は人手不足を克服する前に、人材そのものを枯渇させるだろう。効率の勝利が未来の衰退を招きかねない。
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