2026/04/23

高市早苗首相が掲げる「労働時間規制の緩和の検討」をめぐり、自民党が政府に対し、労働基準監督署の指導の運用を見直すよう提言をまとめる方針を固めた。月45時間を超えても、いまの制度内で時間外労働がしやすくなるよう、労基署が企業などを支援する役割を求めているが、残業時間の削減が進みにくくなる懸念もある。
9日の自民党の日本成長戦略本部で提言案が示された。関係者によると、おおむねこの方向で内容をとりまとめ、近く首相に手渡すという。夏にもまとまる政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映されることを目指している。
労働基準法にもとづく労働時間は1日8時間週40時間だが、労使がいわゆる「36(サブロク)協定」を結べば、原則月45時間以内の時間外労働ができるようになる。さらに特別条項を締結すると、休日労働を含めて時間外は月100時間未満などと定めている。
今回の提言案では、労基署が「違法な残業にならないように36協定や特別条項の締結に向けたサポートを行うこと」を盛り込んだ。また「時間外労働を月45時間以内に削減することを求める一律の指導を見直す」ことも掲げている。
(朝日新聞 4月9日)
労働時間は、ときに働く人たちの生活の奥底に沈殿した疲労や安堵を映し出す鏡のようなものだ。自民党が示した提言案は、その鏡に映る像を少しばかり歪める可能性を孕んでいるように思う。この報道によれば、政府に対し労働基準監督署の指導の運用を見直し、月45時間を超える時間外労働を制度の枠内で行いやすくする方向が検討されている。そこには、経済成長を支えるために労働の柔軟性を高めようとする意図があるという。
しかし制度の文言がいかに整えられようとも、現場で働く人々の身体は、条文の外側で確かに疲弊し、またときに沈黙する。厚生労働省の統計では、長時間労働が健康障害のリスクを高めることは繰り返し指摘されてきた。過労死等防止対策白書にも、月80時間を超える時間外労働が重大な危険を伴うと明記されている。
そうした知見を前にすると、「一律の指導を見直す」という言葉は、どこか社会の暗がりに潜む影を長くするような響きを帯びてくる。
もちろん企業の実情は一様ではなく、労基署が協定締結を支援するという発想には、現場の混乱を避けようとする側面もあるのだろう。だが制度が緩むとき、最も弱い立場に置かれた人々がその隙間に落ちていく。
自民党の提言が、労働者の声なき声をすくい上げる方向へと結実するのか。それとも、静かに疲労を積み重ねる人々の影を、さらに濃くしてしまうのか。働くという行為が、ただ生計を立てるための手段ではなく、人が社会とつながり、みずからの尊厳を確かめる営みであるならば、労働時間をどう扱うかは、国家の成熟度を測る試金石でもある。
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