2026/04/20

2025年度(4-3月)の「人手不足」倒産が、442件(前年度比43.0%増)と過去最多を記録した。
賃上げが資金繰りの負担になった「人件費高騰」が195件(同77.2%増)、従業員の退職で業務に支障を来たした「従業員退職」が108件(同40.2%増)など、いずれも大幅に増え、過去最多を更新した。
物価高、人件費の上昇などで収益が落ち込み、大手と中小企業の賃金格差が拡大している。利益償還できず、収益で賃上げ原資を確保できない企業は、従業員の安定雇用にも影響が広がる実態を示している。
2025年度の「人手不足」倒産は、飲食業64件(前年度比178.2%増)、医療,福祉事業53件(同76.6%増)を含むサービス業他が170件(同73.4%増)と突出している。また、建設業93件(同8.1%増)、運輸業70件(同11.1%増)と、労働集約型で人手不足が深刻さを増している。
原材料からエネルギーまで幅広く値上げ続くなか、価格転嫁が遅れた企業は賃上げ原資の捻出に苦労している。採用や従業員の退職防止には賃上げが避けられず、賃上げできない企業は人材流出が進み、経営悪化に陥る悪循環に陥っている。
(東京商工リサーチ 4月8日)
人手不足倒産が過去最多を更新したという事実は、たんなる景気循環の揺らぎではない。むしろ、戦後日本が長らく抱え込んできた「労働力の安価な供給」に依存した経営構造が、いよいよ臨界点に達したことを示す徴候である。統計が語るように、2025年度の人手不足倒産は442件、前年度比43%増。とりわけ賃上げ負担による「人件費高騰」倒産が77%増という急伸を見せたことは、企業の体力がもはや制度として運用される賃上げに耐えられない段階に来ていることを物語る。
背景には、物価高とエネルギー価格の上昇がある。総務省の消費者物価指数は23年以降、コア指数で前年比2%を超える伸びを続け、企業物価指数も高止まりしたままだ。価格転嫁が遅れた中小企業は、収益の源泉を削られ、賃上げ原資を確保できない。大企業との賃金格差が拡大するのは必然であり、労働市場の流動化が進む現在、優秀な人材ほど中小企業から離れていく。
倒産が飲食業、医療・福祉、運輸、建設といった労働集約型産業に集中しているのも象徴的だ。これらの産業は、人口減少社会で最も深刻な人手不足に直面している。厚労省の推計では、40年には医療・福祉分野だけで約69万人の人材不足が生じるが、今回の倒産増は、その未来予測がすでに現在に滲み出したことを示している。
問題の核心は、賃上げがコストとしてしか扱われていない点にある。賃金は本来、労働力の再生産を保証する社会的装置であり、企業の持続性を支える基盤である。しかし、短期的な収益性を優先する経営が常態化した結果、賃金は削減可能な変動費として扱われ、企業はみずからの存続条件を細らせてきた。
人口減少という不可逆の現実のなかで、労働力をどう確保し、どう報いるか。その問いが企業に突きつけられ、選別のふるいが動いているのである。
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