2026/04/08

働きながら年金をもらう人に適用される在職老齢年金制度が4月から変わる。今は賃金と年金の合計額が月51万円を超えると年金が減額されているが、この基準額が65万円に引き上げられ、在職者の一部は年金が増える。
健康寿命が延びるなかで、働き続けることを希望する高齢者の活躍を後押しするのが狙いだ。今回の見直しをテコに、高齢者の就労を一段と広げていきたい。
在職年金制度は賃金(ボーナスを含む年収の月額換算)と厚生年金の報酬比例部分(月額)の合計が基準額を超えた場合に、超過分の年金を半額にする仕組み。
一定以上の収入がある高齢者には年金制度を支える側に回ってもらうために設けられた制度だ。2022年度時点では、65歳以上の在職者約308万人のうち約50万人の年金が減額されている。
この制度に対しては高齢者の就労意欲を阻害しているとの指摘がある。このため改正を検討する過程では、基準額を71万円まで引き上げたり、減額ルールそのものを撤廃したりする案もあった。
ただ在職者への年金増額は年金財政を悪化させる要因になる。
(日本経済新聞 3月27日)
在職老齢年金制度の基準額引き上げは、一見すると高齢者の就労を後押しする施策という名目をまといながら、制度の根幹に潜む矛盾を露呈している。基準額を51万円から65万円へと引き上げることで、確かに一部の在職高齢者は年金減額を免れ、就労意欲の向上につながる期待をもてる。
しかし制度の本質は、依然として「一定以上稼ぐ高齢者の年金を減額する」という逆インセンティブの構造にある。高齢者の労働参加を促すと言いながら、収入が増えるほど年金が減る仕組みを温存する限り、合理的な選択が見えにくくなる。
さらに、今回の見直しが財政悪化を避けるための妥協であることは否めない。71万円案や減額ルール撤廃案が俎上に載りながら退けられた背景には、年金財政の逼迫という問題が横たわる。つまり、制度改正の議論には「高齢者の就労促進」と「年金財政の持続性」いう二つの政策目的がどこで折り合うべきかを問うことが必要だったはずだ。しかし、その核心に踏み込まず、基準額の微調整にとどまった。
減額対象者が308万人中50万人という数字は、制度が決して例外的な措置ではなく、相当数の高齢者に影響を与えていることを示す。高齢者の労働市場参加が不可欠となる社会で、逆インセンティブの構造は障壁になろう
総じて今回の改正は、制度の矛盾を解消するには不十分であり、むしろ延命措置に近い。高齢者の就労促進と年金制度の持続性を両立させるためには、より抜本的な制度設計が不可避である。
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