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「年収半減」がミドル転職のリアル 地位とカネへのこだわりを手放せ

“65”歳定年時代の現在、ミドル~シニアの働きがいをいかに取り戻すかは、現場マネジャーに共通する課題だろう。人材育成に詳しいFeelWorks(東京・中央)代表の前川孝雄氏は「肩書・給与にこだわるほど、キャリアは行き詰まる」と語る。
(中略)
 今の時代は40代・50代でも、転職して活躍できるという風潮もあります。しかし実際にはそういう人たちは、いわゆるハイクラス人材。ヘッドハンティングされたり、知人の紹介で引き抜かれたりするパターンがほとんどです。  
就職・転職関連の媒体を編集していた私の実感ですが、一般公募での転職活動は皆さんが想像しているよりも厳しい。それも30代、40代と年齢を重ねるごとに厳しさが増していきます。  
ところが、人は得てして他者評価より自己評価が高いものです。現実には非常に厳しい人材市場環境の中で評価されるので、そのことを伝えていく必要もあるでしょう。  
国税庁の調査(令和6年分 民間給与実態統計調査)によると、労働者全体の平均年収は478万円です(男性で578万円、女性で333万円)。企業規模や年齢を問わず合算した平均なので、50歳以降、60代で転職するとなるとさらに下がるでしょう。企業の規模によっては正社員で年収300万円台、というケースも珍しくありません。
(日経ビジネス 3月24日)

 40歳以降はリストラ対象の年代であり、50歳を過ぎれば数年後には役職定年、その五年後には60歳定年という節目が見えてくる。この年代に入ればスキルの伸びしろは期待できず、むしろ時代とのミスマッチが生じてしまいがちだ。確かな専門スキルを保有し、マネジメント経験も豊富なら転職後の年収アップを期待できるが、一部の層に限られてくる。
この記事に書かれているように、ヘッドハンターや紹介など請われて転職する場合がほとんどで、年収は少なくとも現状維持である。請われるような人材は、転職が差し迫っていない。将来の年収アップをほのめかされ、現状よりも少ない年収を受け入れることはないだろう。
 JAC Recruitmentのデータでは、51歳で転職し年収アップを実現した人のうち、約35%は50万円未満にとどまるが、100万円以上のアップを達成した人が約36%。500万円以上の大幅アップを果たした人は2.1%。エグゼクティブ層への移行によって年収がアップしているという。これはハイクラス人材の例である。
 50歳を過ぎた多くの転職希望者は自己評価がどうであれ、採用側の評価基準では「その他大勢」に区分されるのが実情で、年収が現状維持なら御の字である。抜き差しならない事情に直面していない限り、年収だけを考えれば、割り切って現職で定年まで過ごしたほうが現実的だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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