2026/03/23

日本企業によるグローバル企業の買収が年々活発化している。だが、国内ビジネスを中心に成長してきた企業が海外企業を買収した場合、経営統合のプロセスでつまずくケースが後を絶たない。そんな中、買収したグローバル企業の仕組みに自らを適応させるという独自の道を切り開いたのが日本たばこ産業(JT)だ。『AFTER M&A』(岩下仁著/BOW&PARTNERS)から一部を抜粋。同社の「逆転型統合」の成功例に迫る。
英語も話せず、海外事業は外国人任せだったJT。海外で通用する日本人マネージャーをどう育成しようとしているのか。
英国ギャラハー買収から数年後、2009年には、JTIの海外売上がたばこ事業全体のほぼ半分を占めるようになった。これは海外売上に関しては、いわゆるグローバル企業といえる割合である。国内専用企業から出発し、買収により海外売上が2〜3割に達し、それがさらに成長して、ついには国内売上を上回る規模になったのである。
当時のJTは、二つの大型買収を終え、表向きは、名だたる日本発グローバル企業。しかしながら、内情は全く逆だった。
担当者によれば、JT国内事業は、どう見ても国内専業企業だったという。英語を話せないのはもちろん、終身雇用と先輩後輩の関係、はたまた入社年次による同窓会、そして中途入社社員がほとんどいなかったことなど、制度、考え方から知識、行動まで、どう見てもグローバル企業ではなかったと。
(Japan Innovation Review 3月11日)
JTIはスイスのジュネーブにあったが、業績や経営環境の変化、あるいは本人の業務成果などに合わせて従業員の採用と解雇を柔軟に行うハイヤー&ファイヤー(Hire & Fire)を方針に、解雇も辞さない人事を実施していたという。
JTの統合報告書(2025年)で、寺畠正道社長は、JTグループがインターナショナル企業にとどまらずグローバル企業になれた要因について、こう語っている。
「買収当初は、(現在の)たばこ事業本部であるスイス・ ジュネーブのJT International(JTI)と東京にあるJT本社 の間で意見の相違がありましたが、互いの強みを理解し、共通の目標を掲げることで一体感が生まれました。これは、最初からそのような方針が明確にあったわけではなく、JTIとの 間でさまざまな議論を繰り返した結果、JTIを信頼して任せる 必要が出てきた中で確立したスタイルです」
JTグループは、経営・ 事業をリードする人材を中長期的に確保するため、選抜型の早期育成制度を運用して 全世界に広がるさまざまなポジションでのリーダー経験を積ませ、経営者候補をプールしている。2024年には約500名が経営・事業をリードする候補として育成プログラムに参加した。
たばこ事業では、オープンポジションを全世界に公開し、従業員が応募できる「Job posting制度」を導入。24年には年間で4355ポジションを公開し、 延べ8703名が応募した。そのうち約200名に対しては、経営陣や事業リーダーが育成状況をモニタリングしたうえで、客観的な外部評価などを踏まえ、一人ひとりの資質、中長期的な成長課題、キャリアプランについて議論している。
懸念されていた海外で通用する日本人マネージャーは続々と育成されるだろう。
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