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リコーがデジタル人材6000名超を「実践先行」「異動前提」で育成

リコーはデジタル人材育成の進め方を、「学んでから活躍の場を探す」モデルから、実践の場を先に設計するモデルへと転換している。社内留学や新規事業創出プログラム、異動を前提にした育成などにより、2026年3月までに6000名超となる見通しだ。なぜこの育成モデルは機能しているのか。人材を“戦力化”するために何を変えたのか。全社のデジタル人材育成を担う技術統括部技術経営センター所長の中原逸広氏に聞いた。
──リコーでは、現場の業務を可視化して改善する「プロセスDX」で、デジタル人材の実践力を高めようとしています。現場内でデジタル実践の機会を継続的に生み出すのは大変ではありませんか。
中原逸広氏(以下、敬称略) 確かに、単に現場でデジタルを使う機会を作るだけでは、十分とはいえません。より実践的な環境を準備する必要があるため、いくつかの施策を実施しています。
 1つが、当社の共創スペースである「RICOH BIL TOKYO」への社内留学制度です。BILとは「Business Innovation Lounge」の略で、最新のAIを活用したDXを体験できる施設として運営しています。2018年にオープンし、2023年12月までに約860社のお客さまにご来場いただきました。2024年に東京・品川に移転してリニューアルしたのが、今の姿です。
(Japan Innovation Review 3月9日)

「RICOH BIL TOKYO」は民間企業、中央官庁、地方自治体、各種専門機関、団体などが利用し、リコーが利用者のアイデアや未来構想の具現化を支援している。常駐するリコーの技術者が顧客と対話し、対話を通じて技術課題を把握して、解決策をその場でのディスカッションや、技術動向のアドバイスなどによって、顧客は新規事業の創出やDX促進に取り組んでいる。
プロトタイプの作成も迅速に進められるので、アイデアや未来構想の具現化がスピードアップするという。
 「RICOH BIL TOKYO」について、リコーのホームページにプロジェクトの事例が紹介されている。ある工場でDXを推進した事例である。その工場は設備保全のためにアナログメーターなどを日々点検する必要があり、1日に何度も広大な現場を周り、点検業務に携わる従業員もいた。
そこで、実物の機械を点検せずともデータを見て判断できるようにし、点検業務の工数を削減して生産性の高い別業務に工数を割けられるように改善した。
こうした業務に関わり、デジタル化の現場を経験すれば、実践的な知見を体得したデジタル人材が次々に輩出されるだろう。他社の知見を吸収できることも利点である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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