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サイバーエージェントが「素直でいい人」にこだわる理由

AIがあらゆるスキルを代替する時代、真に求められるのはどんな人材だろうか。サイバーエージェントが掲げる「素直でいい人」という、一見すると精神論にも思える採用基準。しかし、実はAI共生時代には極めて合理的な戦略であることが、一冊のビジネス書から見えてくる。
「正解」に固執せず未知を面白がる力、そしてその才能を解き放つ「関係の質」とは。ビジネス書の目利きである荒木博行氏が『そして僕たちは、組織を進化させていく』(斉藤徹著、クロスメディア・パブリッシング)を補助線に、これからの組織の在り方を探る。
 素直でいい人」──これは、サイバーエージェントが創業以来、採用方針として掲げ続けている有名なキーワードの一つだ。
 一見すると「従順な人」や「単なるお人よし」を指す言葉のように聞こえるかもしれない。しかし、AIが進化し続ける令和の時代において、この言葉は想像以上に深い意味を持つ。
 同社の専務執行役員兼人事本部長の石田裕子氏は、2025年11月9日付の日本経済新聞のインタビューで、「採用選考で重視することは何か」と聞かれ、こう語っている。
「あえて挙げるなら『コミュニケーション能力など人柄』、そして挑戦意欲とチーム主義です。サイバーエージェントでは特に『素直でいい人』を採用の必須条件としています。人工知能(AI)の進化など変化の大きい業界なので、世の潮流に素直に適応できる人材を求めています」
(Japan Innovation Review 2月27日)

素直でいい人――これがサイバーエージェントの求める人材像という。藤田晋社長はYouTube「新R25チャンネル」で「弊社で活躍している人は皆素直である。だから採用でも素直な人を選んでいる」と語っている。
同社のホームページに記載されている求める人材像によると、採用基準は「ズバリ、素直でいい人」。素直な人とは、時代の変化に対応し、その変化を一緒に楽しめる人。いい人とは、いっしょに働いていて気持ちのいい人。事業の大枠しか決まっていない会社だからこそ「何をやるかよりも誰とやるか」を重視して、いっしょに働いていて気持ちのいい人が活躍しているという。
藤田氏によると「素直でいい人」を選ぶ理由は同社の成長力と密接不可分のようだ。
「弊社の場合、日本の高度成長期の産業のようにグンと成長している中で、斜に構えられると非常に困ってしまうと感じている。一丸となって勢いで伸ばしていこうぜという前向きな気持ちでという会社だ。
ひねくれて頭良い人が活躍する場合もある。ただその確率と、素直で良い人だけどまだ何もできませんという人を採用してその後伸びる確率を考えると、弊社の場合は後者の方が活躍する確率が高いと感じている」(「新R25チャンネル」)
素直かどうかは学びにも通ずる。素直な人とひねくれた人では、吸収力に顕著な差が出てくるものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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