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医師の年収、医師の副業・アルバイト込みの年収中央値は1700万円

医師向けのキャリア支援サービスなどを提供している株式会社メディウェル(本社:北海道札幌市)は、医師の年収に関する全国の医師2055名のアンケート結果を公表した。
 医師の7割がアルバイト・副業での収入を得ており、主たる勤務先のみでは中央値年収1300万円(最頻値800万円未満)とアルバイト・副業込みの金額と大きく開きがある状態である。多くの医師にとってアルバイト・副業が重要な収入源になっている状態だ。
 去年と比較して年収の増えた割合・減った割合では「変わらない」が最も多い状況だった。年収が「減った」という医師も2割いた。
年収が増えた医師の理由には、「副業・バイトを増やした」「転職・異動・開業した」「定期昇給・ベースアップ・年次での給与増」「業務量・勤務時間が増えた」「役職・手当がついた」などが多く挙げられた。
 一方で年収が減った医師の理由には、「転職・異動・開業をした」「副業・バイトを減らした」「業務量・勤務時間を減らした」「勤務先の経営が悪化した」「制度変更や手当削減の影響」「定年や年齢・再雇用による減少」など理由が多く挙げられた。
(メディウェル作成ニュースリリースを要約 12月1日)

 2026年度診療報酬をめぐる改定の議論が佳境に差しかかり、12月中旬には改定率が決定する。診療報酬は、医科、歯科、調剤報酬に分類され、医師の人件費は医科に該当する。
医師の年収は調査によって開きがある。
厚生労働省が実施した医療経済実態調査によると2024年度の平均値は、診療所では、医療法人立有床診療所院長が3231万、医療法人立無床診療所院長が2871万、医療法人立一般病院長が2900万。一方、病院では、公立病院長が2150万円、公的病院長が2141万円、国立病院長が1891万、その他の病院長は2421万だった。
勤務医師の年収は、医療法人立病院が1576万円、公立病院が1550万円、公的病院が1382万円、国立病院が1290万円、その他が1453万円。医療法人立無床診療所は1144万7269円、医療法人立有床診療所は935万円だった。副業・アルバイトを加えると、メディウェルの調査で報告された1700万円に増えるのだろう。
 しかし財務相の諮問機関である財政制度等審議会は、診療所院長の年収が約3000万円(個人立が約3200万円、医療法人立が約2700万円)と集計し、無床診療所の経常利益率が6.4%と中小企業の平均を上回って「多くの診療所に経営余力が引き続き存在すると考えられる」と指摘した。診療報酬では診療所のマイナス改定を主張している。
 さらに財政審によると、開業医の年収は、国内の全産業平均の4.5倍、勤務医は2.5倍と高い傾向にある。OECD諸国では、国内の全産業平均と比較して、開業医が2.9倍、勤務医が2.1倍という。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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