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育休取得で最大30万円支給 HIOK

HIOKIは2030年までに育児休業取得率100%の達成をめざし福利厚生制度を拡充した。育休を取得した社員に最大30万円の育児応援金を新たに支給するほか、出産祝い金も1万円から5万円に引き上げた。経済的な不安を低減することで安心して育休を取得してもらう狙い。
子育てに合わせた柔軟な働き方に対応する施策も盛り込んだ。従来は子どもが小学3年生になるまでとしていた短時間勤務の期間について、小学校卒業まで延長した。。産休から復帰した後、働く日数を1週間あたり3〜4日に減らす制度も試験的に始めた。
出産前の段階で「出生予定届」を任意で提出してもらい、上司と人事担当者を合わせた三者面談を実施する制度も新たに設けた。複雑化している社内制度の説明も合わせて事前の相談体制を確保する。
同社の育休取得率は24年時点で女性が100%、男性が73.5%と、男性の取得率が低い。
20年に厚労省の「プラチナくるみん認定」を取得し育休取得を促してきたが、経済面が課題の一つだったことから応援金などを手厚くすることにした。
(日本経済新聞 11月14日)

HIOKIは「プラチナくるみん認定」を取得して育児休業の取得促進などを進めてきたが、依然として現場からは制度面・経済面での課題が寄せられていた。そこで、経営職と労働組合員による給与委員会で議論を重ね、国の少子化対策の方向性と社員の声を踏まえた新たな施策を導入した。
そのひとつが勤務時間短縮措置の延長で、従来は小学校3年生までだった勤務時間の短縮措置を小学校卒業までに拡大し、育児と仕事の両立支援を強化した。また産休終了後の復職支援として、週3~4日の短日数勤務をトライアルで導入予定して多様な働き方の選択肢を広げた。情報提供も強化し、「育休ガイド」などを通じて、法制度や社内支援策に関する情報を体系的に提供して、各種制度を利用しやすくした。
出産・子育て支援は自治体も強化策を進め、東京都は、子育て家庭に対して、10万円相当の育児用品や子育て支援サービス等を選べるギフトカードを付与している。さらに目黒区は国民健康保険の被保険者が出産したとき、その世帯主に出産育児一時金として50万円を支給している。
出産に端を発する人口問題について、政府は人口戦略本部を創設して人口減少問題の司令塔機能として稼働させる。民間では、経済界、労働界、地方自治体、地域、子育て支援など関係団体、学識者、若者世代などが参画して「未来を選択する会議」が発足して、政策提言を行なってゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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