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ベア3%以上、定昇分含め5%以上の賃上げ要求へ…連合が基本構想

 2026年の春闘に向け、連合は23日、基本給を底上げするベースアップを「3%以上」、定期昇給分を含めて「5%以上」の賃上げを求める基本構想を発表した。中小企業については25年と同様に全体水準より高い「6%以上」の目標を掲げ、企業規模による格差の是正を目指すとした。
 平均賃上げ率は24年に5・10%、25年に5・25%と2年連続で5%台を実現した。ただ、連合の集計によると、組合員300人未満の中小企業では、24、25年の賃上げ率はいずれも要求を下回り、それぞれ4・45%、4・65%にとどまった。
 こうした状況を踏まえ、基本構想では「生活が向上したと実感している人は少数にとどまり、個人消費は依然として低迷している」と指摘。中小企業や労働組合のない企業にも賃上げを波及させる必要性を訴えた。
 また、非正規労働者らの賃金について、「働きの価値に見合った水準に引き上げる」と強調。今年度改定で大幅上昇した最低賃金の全国平均引き上げ率の6・3%を上回る7%の賃上げを目指すとしている。
 連合の芳野友子会長はこの日の記者会見で、「数値を掲げるだけではなく、その実現にこだわりたい。着実に積み上げていくことが重要だ」と話した。
 芳野会長は、高市首相が労働時間規制の緩和の検討を上野厚生労働相に指示した点にも触れ、「働き方改革はまだ道半ばで、時間外労働の上限規制を緩和することはあってはならない」と懸念を示した。
(読売新聞オンライン 10月23日)

高市早苗政権も引き続き賃上げを積極的に進めてゆく。高市首相は10月21日の内閣発足にともない、18人の閣僚に指示書を出し、10月23日付け日本経済新聞に掲載された。
全閣僚への共通指示に「所得を向上させ、消費マインドを改善し、税収を増加させる」と指示したことに加えて、上野賢一郎厚生労働相と赤沢亮正経済産業相に出した指示書に、は下記の指示が同一に示された。
「関係大臣と協力して、付加価値を高める労働への転換、リスキリングやデジタル技術の活用を後押しし、より少ない労働時間でより多くの賃金を得ることができる「稼げる日本」への変革を進めるとともに、意欲のある高齢者の就労を支援し望まない非正規雇用をなくすための改革を実施する。あわせて、関係大臣と協力して、兼業・副業を促進するとともに、最低賃金の引き上げを加速させる」
 兼業・副業の促進は個人の稼ぐ力の強化策ともいえる。
 さらに赤沢氏に対しては踏み込んで「半導体・人工知能(AI)など輸出産業を中心としたサプライチェーンを国内で整備し、中小企業を含めた高付加価値化・賃上げを実現するため、税制などで民間投資を刺激しつつ、国の投資も強化する」と指示した。
 格別、新しい趣旨ではないが、政権が代わっても持続的に取り組んでほしい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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