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万博スタッフ、引く手あまた 人手不足のホテル・バスが熱視線

大阪・関西万博で働くスタッフを今月13日の閉幕後に採用しようとする動きが本格化してきた。
 人手不足が深刻なホテルやバス会社をはじめ、幅広い業種の企業が合同の会社説明会に参加するなど、間もなく雇用契約が切れる約2万人に熱い視線を送っている。
 人材派遣大手のパソナ(東京)が先月中旬に大阪市内で開催した合同説明会には、リーガロイヤルホテルを運営するロイヤルホテルやコンビニ大手のファミリーマートなど107社が出展した。10人程度を採用しようと参加した阪急阪神百貨店(大阪市)の担当者は、「海外富裕層の接客や通訳ができる人材を強化したい」と話した。
 一方、運転士不足で路線バスの一部廃止を余儀なくされた南海バス(堺市)は、万博会場と駐車場を結ぶシャトルバスなどの運転士を対象に近畿運輸局が開いた合同説明会に出展した。半年間、来場者の輸送に携わった人材を即戦力として期待。担当者は「説明会後、職場見学に来てくれた人もいる」と、手応えを口にした。
 バスの運転士不足は各社共通の課題で、運輸局の担当者は「万博で働くために近畿圏外から来た人もいる。万博を機に、関西に定着してほしい」と話した。
(時事通信 10月11日)

コミュニケーション、語学、プレゼンテーション、ホスピタリティ、チームワーク、臨機応変な対応――万博スタッフは、これらのスキルを身につけているのだろう。万博スタッフというブランド価値も経歴に花を添えるが、万博会場で各国の来場客に向き合う経験は、保有スキルを磨き上げる機会になったのではないのか。
万博スタッフの募集案内を確認すると、日本コンベンションサービスとJTBグローバルマーケティング&トラベルとの共同で募集した国内外の賓客(VIP)の接遇、誘導を行うスタッフの場合、接遇施設(迎賓館、日本館、各国パビリオンやイベントスペースなど)への誘導案内、視察先の概要説明、会場視察における同行と誘導、日報の作成を担当する。
 採用された時点で、すでに有能だと察するが、VIP対応の経験を積んだスタッフを採用したい企業は多いだろう。
 万博スタッフ経験者を対象にした求人職種はさまざまだ。兵庫労働局のサイトにアップされている「大阪・関西万博閉幕後のお仕事探し」には、予約営業事務、フロントスタッフ、レストランサービス、事務及び接客ホテル・旅館での飲食の配膳、会場セッティング、ホテルフロント業務、宿泊サービス、販売、飲食ホールスタッフ、タクシー運転手、警備などが登録されている。
 万博は宿泊業や飲食業への人材供給源になったのだが、パソナなど人材紹介会社は万博開催の前に閉幕後の求人需要を見込んでいたようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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