Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

外国人受け入れ政策見直しへ 賃金や治安への影響調べ「制限」も検討

政府が外国人受け入れ政策の抜本的な見直しに向け、動き出す。社会保障や賃金、治安など日本社会への影響の有無を調べ、受け入れに一定の制限をかけることの可否も検討する。出入国在留管理庁や有識者会議での議論を経て、関係閣僚会議で新方針を決めたい考えだ。  
入管庁を所管する鈴木馨祐(けいすけ)法相が29日の閣議後会見で、検討すべき論点をまとめた報告書を公表。庁内にプロジェクトチームを立ち上げ、「可能な限り速やかに検討を進める」と述べた。
 外国人の急激な増加で排斥論が高まり、社会が分断されないよう、適切な受け入れのあり方を検討する狙いがある。外国人の人権との調和をどう図るかが課題だ。  
報告書は、これまでの外国人政策は「対症療法的」で、「統一方針がない」と明記。総人口に占める外国人の比率が、欧米の先進国のように1割を超える時代を見据え、政府全体で多角的な検討を始める時期だとした。  
総務省の今月発表の人口推計(3月確定値)によると、国内の外国人の人口は356万5千人で、全体の2・9%。これが1割になるのは、国立社会保障・人口問題研究所の推計では「2070年」とされるが、報告書では「はるかに早く到来する可能性が高い」との指摘を紹介した。
(朝日新聞 8月29日)

 
さる8月、出入国在留管理庁が運営する法務大臣勉強会が「外国人の受入れの基本的な在り方の検討のための論点整理」を発表した。
今後の外国人の受入れに当たって考えられる視点として、次の6点を提示した。①継続的な経済成長のため、将来的にどの程度の外国人を受け入れることが適切か②どのような産業・業務にどのような外国人がどの程度必要か③どのような外国人をどの程度受け入れることにより、国内労働市場 にどのような影響があるか、受け入れた外国人の適切な労働条件が 確保できるか④どのような外国人をどの程度受け入れることにより、税・社会保障制度にどのような影響があるか⑤地域の生活者としての観点 外国人が地域社会に与える様々な影響等を踏まえ、外国人を地域の 生活者としてどのように受け入れていくか⑥治安の観点 外国人を受け入れることにより治安にどのような影響を与えるか。
これまで外国人労働者の受け入れは技能実習生を中心に、リスクに目をつぶり、人手不足の補充一辺倒にアクセスを踏みつづけてきた。この推進策に対する異論や反論は「共生社会づくり」というスローガンでかき消されたが、先の参院選を機に異論や反論を述べやすい状況になった。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。