2025/09/05
出入国在留管理庁は26日、日本で起業する外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」について、取得に必要な資本金の要件を現行の6倍となる「3000万円以上」に引き上げる法務省令案を公表した。制度の趣旨を外れた中国人らの流入を抑制する狙いがある。意見公募を経て、10月中旬から実施する方針だ。
現行制度では、「500万円以上の資本金」か「2人以上の常勤職員」を用意し、日本国内に事業所を確保すれば、最長5年滞在できる。省令案では、資本金の引き上げに加え、「1人以上の常勤職員」も必須とした。経験や学歴の要件も追加し、「経営・管理経験3年以上」か「経営・管理に関する修士相当の学位」を求める。中小企業診断士などによる事業計画の確認も義務づける。
同庁によると、昨年末時点の中国人による取得者は2015年の2倍超となる2万1740人で、外国人全体の半数以上を占める。移住目的で、民泊の運営法人や実体のないペーパー会社を設立する事例が目立つことが問題となっていた。
(読売新聞オンライン 8月26日)
10年前までは外国人の起業を促進する傾向が顕著だった。2015年に成立した内閣府国家戦略特別区域「外国人創業活動促進事業」、および18年に経済産業省が施行した「外国人起業活動促進事業」に基づく緩和策が、「スタートアップビザ」と呼ばれていた。
ジェトロ(日本貿易振興機構)の調査によると、24年5月末時点で累計716人以上に対し、「スタートアップビザ」制度による「特定活動」もしくは「経営・管理」の在留資格が交付された。入国後6カ月から1年間、起業準備に向けた日本での滞在が可能になり、359人が事業経営者に付与される在留資格「経営・管理」への移行または更新を行い、日本での創業に成功したという。
しかし外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」の取得要件の厳格化によって、この流れに歯止めがかかろうとしている。
東京都も外国人起業家の支援策を見直し、外国人起業家の資金調達支援事業を2024年3月で終了した。この事業は①東京都で事業計画の認定を受けている②日本国内で創業した日から5年未満③事業活動の制限を受けていない在留資格を有している④東京都内に本店または主たる事務所を置く法人の代表者である――などを要件に、法人代表者を保証人に指定して、上限1500万円を無担保で融資していた。
外国人の土地取得規制や、40年前に廃案になったスパイ防止法(国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案)もクローズアップされ、共生社会づくりと同時に経済安全保障の検討が進んでゆく。
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