Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

日産追浜工場、転職支援を検討…2400人対象

経営再建中の日産自動車が、追浜(おっぱま)工場(神奈川県横須賀市)の生産終了に伴い、約2400人の従業員を対象に他企業への転職支援を検討していることが18日、分かった。追浜の生産は九州の自社グループ工場に移管・統合する方針だが、生産台数の縮小などで希望者全員の受け入れは難しい情勢だ。
 経営幹部と労組による協議会が7月末に開かれ、生産終了に伴う対応を労組側に初めて示した。経営側は、従業員の異動先は九州の工場が中心になるとしつつ、「日産の他事業所や他企業への異動などが見込まれる」と説明。セカンドキャリア支援の制度を検討する考えも示した。引き続き地元での就業を希望するといった従業員を想定しているとみられる。
 工場跡地の活用方法などの具体的な方向性を、経営側が9月末までに決めることも新たにわかった。
 追浜工場は2027年度末で生産を終了する予定で、生産担当の従業員約2400人への対応が最大の焦点となっている。今後も臨時の労使協議会を開催し、議論を継続する方向で一致したものの、労組側は「追浜工場で働く全ての組合員の雇用と、勤務に関する具体的な計画を示すことが開催の条件」と反発している。
(読売新聞オンライン 8月19日)

 8月21日付けロイターおよび共同通信の報道によると、日産自動車本社ビル(横浜市)の売却先に、米投資ファンドのKKRが最有力候補に浮上し、取引規模は約900億円になる見通しである。
日産は本社ビルを対象にした入札への参加を不動産投資ファンドなどに打診し、売却後も賃貸で10年間使用し続けるリースバックが条件に盛り込まれているという。
 日産がKKRへの本社ビル売却を発表したわけではないが、業績が悪化すると情報守秘の統制が効かなくなり、重要情報がポロポロと漏れてくるものだ。
 一方、経営再建策として、日産は追浜工場に勤務する約2400人を対象に再就職支援を実施するというが、どんな支援をするのだろうか。支援内容は再就職支援会社への紹介が一般的だが、会社に紹介してもらわなくとも従業員は自分で支援会社を探して登録できる。
 会社が再就職先を紹介してくれるのならありがたいが、工場閉鎖で取引先も業績に打撃を受けるので、従業員の採用を要請されても、取引関係の維持に配慮して応ずることは難しいだろう。まして、この場合、適性を評価する選考ができず、要請された人員を丸ごと受け入れるのだから、押し付けられたと受け取られかねない。
 再就職支援会社への紹介にとどまるのはやむを得ないのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。