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外国人の働き手、宮崎など7県で10年前の4倍 地方で進む労働依存

人手不足が深刻な地方を中心に、外国人への労働依存が加速している。全ての都道府県で10年前より外国人労働者の割合が高まり、宮崎県など7県は4倍超になった。建設業や医療・介護などの伸びが目立つ。地域経済を支える担い手との共生を進める環境整備が急務になる。
厚生労働省の外国人雇用状況の届出状況と総務省の労働力調査をもとに、都道府県別と産業別の外国人労働者の割合を外国人依存度として算出した。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの協力を得た。
 2024年時点の依存度が10年前に比べて4・6倍と最も高まった宮崎は、10年前の294人に1人から63人に1人になった。次いで、熊本、和歌山、青森の伸びが大きかった。
 加藤真主任研究員は「日本人が減る過疎地ほど技能実習生や特定技能人材が増える傾向がある。外国人の存在がより地方で意識されやすくなっている」と分析する。宮崎や青森などは農業や漁業の外国人雇用が増えているという。
 業種別にみると建設業が9・2倍と最も大きく伸びた。介護職など医療・福祉が8・0倍、漁業が6・6倍だった。
(日本経済新聞 8月15日)

漁業は就業者の高齢化が進み、世代交代が迫られている業種のひとつだが、若手人材の確保に苦労している。平均年齢56.4歳、65歳以上が37.7%、39歳以下が19.3%――水産庁が発表した漁業就業者の2022年時点の年齢分布である。
この状況にあって、遠洋漁業では、外国人労働者の雇用は人手不足の補充要因ではなく、いまや主戦力になっている。
 遠洋漁業の船内組織は、漁労長(船頭)をトップに、船長がナンバーツー、その下に通信長・機関長・甲板長、そして現場の作業専従者として機関員と甲板員が配置されている。標準的な人員は24人、うち日本人が6人、外国人が18人という組み合わせで、日本人は海技士資格を保有する「船舶職員」を含む6人以上の乗船が義務付けられている。
これだけ外国人が多いのは日本人の就業者が少ないからで、その背景は、日本人が定着する職場環境に改善されていないことにある。外国人労働者に頼らざるを得ない他の業種と同様だ。取材した漁業の人事専門家は「日本人が辞めれば外国人でカバーすればよいという人事の体質が、十数年をかけてできあがってしまった。外国人のほう辞めずに働いてくれるし、安く使えてよいという意見が多い」と指摘した。
漁業界で外国人の主戦力化はますます進んでいきそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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