2025/08/18
人事院は7日、2025年度の国家公務員の月給を3・62%(1万5014円)、ボーナスの年間支給月数を0・05か月増の4・65か月に引き上げるよう国会と内閣に勧告した。勧告通りに実施されれば、中央省庁が採用するキャリア官僚の初任給は初めて30万円を超える。
引き上げ勧告は4年連続で、月給の上げ幅が3%を超えるのは1991年以来34年ぶりとなる。勧告後の年間給与は平均で26万3000円増となる見込みで、優秀な人材確保に向けて大幅な上げ幅となった。
若年層の処遇改善を重視し、初任給は民間の賃上げ状況を踏まえ、総合職(大卒程度)で24万2000円、一般職(同)で23万2000円といずれも1万2000円増。一般職(高卒)で1万2300円増の20万300円とする。キャリア官僚は諸手当を含めると、30万1200円となる。
総合職の採用試験申込者数はこの10年で3割近く減少し、若手の離職者も増えていることから、「公務員離れ」に歯止めをかける狙いがある。優秀な人材の定着を図るため、中央省庁の幹部(指定職)と管理職には月5万1800円の特別手当を新たに支給する。
(読売新聞 8月7日)
公務員離れを示すデータが、またひとつ発表された。人事院によると、2025年度の国家公務員一般職試験(大卒程度)の合格者数のうち、技術系の合格者は計1206人。採用予定の1682人を400人以上下回り、技術系の合格者数は2年連続で定員割れを引き起こした。
人事院が進める雇用改革も調整の域を超えてきた。7日の人事院勧告について、川本裕子人事院総裁は総裁談話で「実現したいこれからの公務」として、4つの柱を述べた。
第一に「高い使命感とやりがいを持って働ける公務」。選ばれる公務組織となるために公務のブランディングの取り組みが重要で、国家公務員の仕事に持たれているイメージと、魅力や処遇・勤務環境など改善が進む現在の状況との間には、ギャップがあるという。
第二に「実力本位で活躍できる公務」。給与体系を年功的なものから、職務・職責をより重視した新たな制度へと転換を図り、昇格に一定の期間を求める在級期間の仕組みの廃止などを実施する。
第三に「働きやすさと成長が両立する公務」。月100時間の上限を超える超過勤務の最小化に向けて、それぞれの職場の実情をくみ取った縮減策を示し、調査・指導の更なる強化を不退転の決意で進める。
第四に「誰もが挑戦できる開かれた公務」。公務を一度離れた方を採用するアルムナイ採用や、技術系人材の確保のための採用ルートの構築など人材確保の裾野をひろげる。
韓国に対して石破茂首相は「地方を含め、民間給与で広がりを見せている賃上げの状況が反映されたものであるとともに、公務全体の人材確保や、政府の進める賃上げに資する内容になっている」と述べたという。
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