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グンゼが一部アパレル工場を閉鎖、 早期退職の募集も

グンゼが、インナーウェアの工場の一部を閉鎖すると発表した。併せて、アパレル各事業の企画 ・営業部門を集約した事業部「アパレルカンパニー」では希望退職も募集する。  
同社は2026年中に、国内の4つの生産拠点を閉鎖。同社の梁瀬工場と連結子会社 養父アパレルは同年3月末日までに、東北グンゼと非連結子会社 矢島通商は同年12月末日までに、それぞれ操業を停止する。ウェアの国内生産拠点は宮津工場のみとなり、閉鎖する工場の機能は同工場と海外関係会社工場に移管する。  
希望退職プログラムは、アパレルカンパニー在籍の満40歳以上の社員を対象に実施。退職加算金の支給や、希望者に対する再就職支援などの優遇条件を提示している。なお、募集人数は明らかにしていない。  
今回の決定は、今年5月に発表した中期経営計画におけるアパレル事業の構造改革によるもの。生産拠点・物流拠点の集約・再編と、希望退職による人員適正化が、事業の持続的な体質強化に不可欠と判断したという。グンゼの2026年3月期第1四半期(2025年4〜6月)連結決算は、売上高322億4000万円(前年同期比3.4%減)、営業利益18億600万円(同13.3%減)で減収減益。最終損益は14億7000万円の赤字となった。
(FASHIONNAP 8月6日)

 グンゼのアパレル事業が落ち込んだ要因は、衣料品関連のECルートは、アセドロンやレディスインナーの差異化商品を中心に拡販が進んだが、量販店などの実販ルートは天候不順、売り場縮小、消費者の買い控えなど影響を受けたことにある。これに数量減少による原価高や人件費などのコスト増加が重なった。
 グンゼは25年5月に中期経営計画「VISION2030 stage2」でアパレル事業構造改革を25 年から226 年に完遂することを発表した。この構造改革プランに沿って、生産拠点・物流拠点の集約・再編と希望退職の実施が、アパレル事業の体質強化に不可欠と判断した。
生産拠点の集約・再編では、グンゼのオリジナル価値を強化しながらコスト競争力を高めることをめざし、国内は開発拠点の宮津工場(京都府)に生産を集約させて国内天然素材ブランド「快適工房」など付加価値商品の持続性のある 生産基盤を構築する。さらに 接着・無縫製ブランド「KIREILABO」は国内技術の海外移転も行なってコスト競争力を高める。
物流拠点の集約・再編では、生産拠点集約・集中特化戦略に対応したリードタイム短縮により、物流在庫を削減 ・重点得意先とEC伸長に対応した物流機能を再編する。
グンゼは希望退職を「ネクストチャレンジプログラム」と呼んでいる。希望していないのに退職を促される希望退職という言葉には欺瞞がつきまとうので、会社ごとに呼び方を変えたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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