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5月の実質賃金、5カ月連続マイナス 23年9月以来の低い水準

厚生労働省は7日、5月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表し、物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より2.9%減り、5カ月連続のマイナスとなった。2023年9月以来の低い水準だった。物価高に賃上げが追いついていない。
 労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額は1.0%増の30万141円で、41カ月連続のプラスだった。
 一方、実質賃金の計算に使う消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が4.0%上昇し、実質賃金は低下した。
 現金給与総額のうち、基本給などの所定内給与は2.1%増の26万8177円だった。
 昨年に比べ大きく下がったのは、賞与(ボーナス)など特別に支払われた給与で、18.7%減の1万2595円だった。賞与を支払う事業所が少なくなっているためといい、運輸・郵便業や、金融・保険業など多数の産業で低下がみられた。
 厚労省によると、夏季賞与が高くなるという民間の調査結果もあるといい、担当者は「夏季賞与が減少傾向にならないか6月分以降の結果を注視する」と話した。
(朝日新聞 7月7日)

 いまだに賃上げが物価上昇に追いつかない。トランプ関税の影響も受けて、賃上げ余力を失い、息切れする企業も続々と現われるのではないだろうか。
帝国データバンクのよると、2025年7月の飲食料品値上げは、合計2105品目。食品分野別では、カレールウなど香辛料のほか、だし製品などを中心とした「調味料」(1445品目)が最多となった。25年通年の累計品目数は1万8697品目となり、早ければ7月にも年間で2万品目への到達が判明する見通しだという。
一向に値上げが沈静化しない要因は何だろうか。同社は次のように分析する。
「飲食料品の値上げの勢いは、前年に比べて強い状態が続いている。原材料高に加えて物流費やエネルギーコストの上昇、賃上げによる労務コストの増加を背景とした粘着性の高い物価上昇圧力を要因として、比較的低位に抑制された前年から大幅に増加する展開が続いている」
 さらに今後も値上げが継続しそうだと予想している。
「国内外の天候不順による供給量の不安定化や、円安による輸入コストの上振れといった要因もあり、飲食料品における値上げは当分継続する可能性が高いとみられる」
 従業員の負担割合などの要件を満たせば非課税扱いができる食事補助が、実質賃金を補う策としてさらに普及していくだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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