2025/07/16
東京都が介護人材の確保に向け、独自に処遇を改善する支援策の検討を始めた。介護職の賃金は国の介護保険制度に基づいて決まるが、都は制度が「大都市の人手不足に対応できていない」という不満を持つ。国による2027年度の介護報酬改定に向けた議論をにらみつつ、都は自前の助成も視野に制度作りを進める。
6月下旬、都は介護職の賃上げ制度について議論する有識者会議の第1回会合を開いた。7月から都内で介護事業所を運営する約5000法人を対象に、賃上げや人材採用に関する課題に聞き取り調査を始める。いま介護職に就いている働き手に対しても「働き続けるために求める条件」などについて答えてもらう。雇う側と雇われる側の両方の視点から待遇面の課題を把握するのが狙いだ。
こうした調査を踏まえ、秋にも国会に対して介護保険制度の見直しを訴える提言をまとめる。都は小規模な事業者が賃上げの仕組みを取り入れやすくなる制度を設計するために支援や補助を検討する。介護職の待遇改善を巡っては、小池百合子都知事が24年の知事選で公約として「東京都介護職員昇給制度」を掲げていた。
(日本経済新聞 7月4日)
東京都は、都内の介護保険サービス事業所が介護職員及び介護支援専門員を対象に「居住支援特別手当」を支給する場合に、月額1万円の居住支援特別手当を補助する。介護職の給与水準が低いことや、住宅コスト等が高いという東京の地域特性を考慮した措置である。
財源に余裕があるから実施できるのだろうが、東京都では各区も介護職を対象に宿舎借り上げを支援している。
世田谷区の「地域密着型サービス事業所等宿舎借り上げ支援事業」は ①定期巡回・随時対応型居宅介護看護 ②小規模多機能型居宅介護③看護小規模多機能型居宅介護④認知症対応扗共同生活介護 ⑤「介護予防支援事業」を行う事業所を対象に、法人が賃貸借契約を結んでいる宿舎に入居する介護職員、看護師、計画作成担当者、オペレーター、保健師、
介護支援専門員などに、1戸あたり月額8万2000円までを補助する。
都内では、足立区、葛飾区、荒川区、渋谷区、品川区、豊島区、文京区なども同様の支援事業を実施している。
こうした支援事業にもかかわらず介護事業の人手不足がつづいているのは、処遇だけの問題ではない。離職理由を一つひとつ潰していくような取り組みが必要だ。
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