2025/07/03
東証スタンダード上場で、チェーン製造・販売のオリエンタルチエン工業(白山市)で27日、東京のコンサルティング会社による突然の「社長交代劇」が起こった。同日に開かれた株主総会で、西村武社長(85)ら現役員の続投を求める社側に対し、筆頭株主が修正を提案。20年以上にわたり経営を担った西村氏がトップから引きずり下ろされる異例の事態が展開した。
新たに社長に就任したのは合同会社シーディーワン(東京)の代表社員の杉山敏之氏(58)。同社は3月末時点でオリエンタルチエン工業の株式の18・4%を保有する。 オリエンタルチエン工業の担当者によると、社側の人事案に対し、杉山氏は突如、自身ら3人を追加する修正動議を出した。決議の結果、杉山氏が提案した3人と社側の1人が選出され、続いて開かれた取締役会で社長に就いた。
担当者は想定していなかった事態だと話し「社長就任後、杉山氏から管理職にあいさつがあったが、今後の経営方針は聞いていない」と困惑した。
西村氏は1962年にオリエンタルチエン工業に入社し、常務、専務などを経て2002年から社長を務めた。同社は産業用チェーンで高い技術力を持つ。
(北國新聞 6月28日)
さる6月29日に放送された「NHKスペシャル」は、アクティビストと上場企業との攻防をテーマに取り上げた内容で、上場企業の社長は、アクティビストに狙われるというストレスにさらされていることが浮き彫りになった。
出演した米国人アクティビストは「会社は株主のもの。我々は株式市場の警察官のような存在だ」と語っていた。法的には会社は株主のものであり、取締役は株主から委任を受けて経営に当たる立場である。
会社のステークホルダーは、株主以外にも従業員、納品先、仕入れ先、地域社会など多方面におよぶが、ステークホルダー資本主義を駆逐して株主を最上位とする株主資本主義の流れが加速している。たとえ発行会社の事業や業界動向について株主の理解が浅くても、株主提案を出せば株主総会の議題に上がってしまうので、発行会社にとっては難儀である。
この番組では、フジ・メディア・ホールディングスの清水賢治社長がインタビューに答え、株主が提案した取締役人事について「全員初めての人になった場合、どうなんだろうか。それまでの事業を理解するだけで、時間がかかってしまうと思う」と述べた。さらに
「企業は何のために存在しているかといったら、社会のために存在している。決して株主だけのために存在しているわけではない」と昨今の風潮にクギを刺した。
アクティビストは発行会社にとって野党だが、こうも幅を利かせるようになると、与党アクティビストも登場しそうだ。
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