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自治体「内定辞退5割」続出 民間と待遇差 給与上げで成功例も

全国で採用試験合格者の辞退率が5割を超える自治体が相次いでいる。民間企業の給与上昇で官民の待遇差が広がり、採用で競り負けるケースが増えている。内定者の6割超が辞退した東京都日野市が競合関係にある隣接市と就職説明会を開くなど、各自治体は対策を進める。初任給の引き上げで人気就職先になった大阪府和泉市のような成功例もある。
日野市は5月、近接する多摩市、稲城市と異例の合同就職説明会を開いた。今年、新卒の一般事務職で日野市に入庁したのは9人。合格者は24人いたが15人が辞退した。24年度は応募者数も203人と、20年度の4分の1だった。
合同説明会には会場定員の400人を上回る申し込みがあった。「単独ではここまで集められな」(日野市職員課の沢井朋子課長)と手応えを得たが、学生らの関心を引き付けられるか、楽観はできない。
「半数辞退」の自治体は全国で相次ぐ。北海道帯広市の辞退率は54・8%と同市で過去最大になった。北海道では函館市の辞退率も52・0%、約50%が内定を辞退した宮城県気仙沼市の担当者は「思うように採用できていない」と実感する。
(日本経済新聞 6月26日)

 公務員の賃金水準は民間よりも低く、人材確保で不利になっているというニュースが散見されるが、今夏のボーナスを見る限り、この通説は当てはまらない。
国家公務員の場合、管理職を除く一般行政職(平均33・1歳)の平均支給額は、前年比4万7300円(7・2%)増の70万6700円だった。地方公務員の賃金は国家公務員に準ずるが、東日本放送(6月30日)によると、宮城県の一般職の平均支給額は87万2025円(平均年齢43歳)、仙台市の一般職は87万852円(41歳)だった。
 一方、民間企業の支給額は、労務行政研究所の「東証プライム上場企業の2025年夏季賞与・一時金(ボーナス)の妥結水準調査」によると、東証プライム上場企業の平均支給額は86万2928円だった。
東証プライム上場企業に限定しなければ、帝国データバンク「2025年夏季賞与に関する企業の動向アンケート」で、全体の平均支給額は45万7000円と発表された。最も多い層は30万~50万円で、全体の34.8%を占めた。
このように公務員の賃金水準は低くないが、一部の大手企業のボーナス支給額が報道されると、公務員は多忙なのに割に合わないという受け止め方が蔓延してしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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