2025/06/10
日本経済新聞社がまとめた2025年の賃金動向調査(4月18日時点)では、中小企業の平均賃上げ率と賃上げ額がともに、データのある2002年以来で過去最高となった。物価高や人手不足を背景に、大企業が先導してきた賃上げが中小にも波及してきた。
従業員数が300人未満の企業の定期昇給とベースアップ(ベア)を合わせた賃上げ率と額を集計した。賃上げ率は4.38%と前年から0.23ポイント上昇した。賃上げ額は同1120円増の1万4309円だった。前年と比較できる企業では約6割が前年の賃上げ率を上回った。
賃上げの理由について人材確保をあげる企業は多い。発電所などの設備工事を手掛ける明星工業は6・66%の賃上げをする。「建設業界の人手不足が深刻となるなか、初任給も引き上げて採用につなげたい」(同社)とした。情報・印刷システム機材商社のムサシも新卒・中途採用の強化などを視野に5・59%の賃上げを実施する。
ただ、中小にも高い賃上げが波及しているものの平均値上げ率は大企業を含めた全体平均を4898円下回り、金額差は昨年より広がっている。
(日本経済新聞 5月30日)
大企業は今夏と今冬のボーナスも前年比アップ、来春の賃上げも力強く継続するだろうが、中小企業はこのペースについていけない。賃上げ疲れが起きて、いずれ限界に直面する。公的支援が必要だろう。
たとえば茨城県は2025年4月1日から26年1月30日までの賃上げに対して、助成金を支給する。
対象は、公共法人、協同組合、個人事業主を含む県内に事業所を有する中小企業・小規模事業者。正規雇用労働者1人あたり5万円 非正規雇用労働者1人あたり3万円 (1事業所あたり最大50万円)を支給する。
支給要件は①申請時点で、事業所内の全ての労働者の1時間当たりの賃金が 1040 円以上であること②1時間当たり35円以上の 賃上げを行なっていること③引上げ後の賃金水準を1年間継続すること。
厚生労働省が運用する人材確保等支援助成金では、複数の雇用管理制度や作業負担を軽減する機器等を導入し、賃上げ(5%以上)を行った場合、最大287.万5000円が支給される。
ただ、いずれの助成措置も賃上げを実施した中小企業が対象である。賃上げを実施したくとも実施できない中小企業をどうサポートする方針なのだろうか。
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