2025/06/09
社員の遠距離恋愛の不安を払拭しようとする企業の動きが広がっている。専門商社のトラスコ中山は4月、恋人の居住地近隣に転勤を希望できる制度の運用を始めた。矢作建設工業は転勤先の恋人を訪れる際の旅費を会社が負担している。人手不足が強まるなか、社員の人生設計を支援し、新卒確保や若手社員の定着につなげる。
「2人で過ごせる時間が増え、時間にゆとりを持てるようになった」。4月、彼氏が住む千葉県の支店に異動したトラスコ中山入社3年目の佐藤美咲さんは笑顔で話す。
トラスコ中山は2024年11月、社内外問わず恋人の居住地近隣で勤務を望む場合に希望転勤を認める「ひなどり転勤制度」を新設した。入社2~6年目の合計9人の申請があり、4月から4人が新天地で働き始めた。6月からは男性社員も含めて5人が利用予定だ。
同社では大卒新入社員の大半が5年程度で異動があるキャリアコース(総合職)の採用だ。従来も介護による希望転勤制度や、配偶者の転勤先に帯同して働き続けられる制度があり、対象に「お付き合いしている人」を追加した。申請書に本人と恋人の署名が必要だが、付き合っている期間などの制限はない。
(日本経済新聞 5月23日)
トラスコ中山は働きやすさを向上させるために、さまざまな制度を運用している。
「トラパパ特別休暇制度」では、子供が生まれた従業員に子供が1歳になる月末までの期間に、育児目的の特別休暇を最大20日間付与する。同社の育児休業制度利用者数は女性の80.8%に対し、男性は40.7%(2024年12月末時点)。
女性と男性との取得率の差はまだ開きがある。取得回数の制限や期間、収入面の不安が原因のひとつとなっていることから、「トラパパ特別休暇制度」を導入したという。
定年年齢も変更した。従来は65歳だったが、今年4月に68歳に引き下げ、その後も雇用延長で72歳まで、その後も73歳から78歳までパートタイマーとして勤務できる制度に移行した。
さらに「祝い」という珍しい制度も運用している。「定年祝い」は役員・社員に対して、勤続10年以上の場合は最長1か月、勤続5年以上10年未満の場合は最長10日のリフレッシュ休暇を付与する。「雇用延長満了祝い」は対象社員にお祝い金100万円を贈呈。73歳で雇用延長満了を迎える前に退職する場合にも、年齢に応じてお祝い金を贈呈している。
社員を思いやる会社の姿勢が伝わってくるが、社員はどのように受け止めているのだろうか。
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