2025/05/26
川北町に石川工場を持つ液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)は15日、1500人規模で希望退職を募ると発表した。石川工場を含む全拠点の従業員が対象で、2600人程度の国内従業員は半数以下となる。2025年3月期の純損益は11年連続の赤字で、人件費を削減して経営再建を進める。
JDIの海外も含めた従業員数は3月末時点で約4100人。今回の削減は日本国内の各拠点を対象とする。主力の茂原工場(千葉県茂原市)は26年3月をめどに生産を終了する予定で、売却を検討している。
JDIは白山工場(白山市)を20年にシャープなどに売却。鳥取工場(鳥取市)も今年3月に生産を終了するなど体制縮小を進めている。全国に6カ所あった生産拠点は、茂原工場の閉鎖後は石川工場だけになる。
JDIは12年に旧産業革新機構が主導し、日立製作所と東芝、ソニーの中小型液晶パネル事業を統合して発足。従業員は15年には海外を含めて約1万7千人いたが、19年に1200人の削減を発表するなど人員削減を進めてきた。
(北國新聞 5月15日)
ジャパンディスプレイ(JDI)の2025年3月期決算は、売上高が前期比21.4%減の1880億1200万円、営業損失は370億6800万円(前期は341億4500万円の損失)、経常損失は404億1500万円(前期は331億8800百万円の損失)だった。
JDIは、人員削減にともなって発生する退職加算金等の費用は、現時点で約 95億円を見込み、1500人の希望退職者数の応募があった場合、年間約135億円の人件費削減を見込んでいる。27年3月期からの連結営業利益の黒字化を実現していくという。
JDIは2012年、産業革新機構の主導によって、ソニー、東芝、日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合・再編して発足した。いわば国策会社なので、たとえ赤字がつづいていても、政府が破綻させずに存続させるのだろうが、転換の道筋は見えているのか。
全国に6カ所運営されていた工場が石川工場だけに移行すれば生産力は低下する。いわゆるゾンビ企業のままでは、いずれ存続をめぐる判断を強いられる時期が来るだろうが、政治案件になるだけに見通せない。
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