2025/04/24
パソナグループは14日、創業者の南部靖之氏(73)が5月31日付でグループ代表兼社長最高経営責任者(CEO)を退任すると発表した。6月1日付で若本博隆副社長(64)が社長に昇格する。創業から50年目に入り、世代交代を図る。
南部氏は取締役からも退く。ウェルビーイング(心身の健康と幸福)産業の創出など「次の50年に向けて新体制の下で、新しいパソナGを築いていってほしい」として辞任の申し出があったという。
南部氏は1976年、関西大学工学部を卒業する直前にパソナGの前身となる人材派遣会社を設立した。設立当時は南部氏は専務に就き、父の栄三郎氏が代表を務めた。91年に代表に就任、93年に商号をパソナに変更した。現ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、エイチ・アイ・エス(HIS)の沢田秀雄最高顧問とともに「ベンチャー三銃士」と脚光を浴びた。
派遣業から派生し、企業から間接業務を請け負うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や転職仲介といった人材サービス業を広く展開。2020年9月から本社機能の一部を兵庫県・淡路島に段階的に移転を始めた。淡路島ではホテルやテーマパークなどの観光事業も展開する。(日本経済新聞 4月14日)
カリスマ創業経営者がなかなか退任できない理由は、多くの場合、後継者が見つからないことだ。南部康之氏がグループCEOを退任できるのは後任体制に不安がないからだろう。
次期会長には若本博隆・取締役副社長執行役員COO、次期社長には中尾慎太郎・常務執行役員が就任する。若本氏は1960年生まれで埼玉銀行(現りそな銀行)を経て89年にテンポラリーセンター(現パソナ)に入社。中岡氏は74年生まれで、98年にパソナ入社。
パソナグループの連結売上高は3567億円(2024年5月期実績)、従業員数は2万5046名(契約社員含む)。グループ会社は、連結子会社:59社、持分法適用会社:5社。この規模のグループになると、後事を託せる経営人材が揃っていないと経営が滞ってしまうが、人材サービス業の大手企業に発展しただけに、自社にも秀でた人材が豊富なのだろう。
ただ、グループの業績は減収減益で、2025年5月通期の売上高は前期比10・3%減、営業利益は75・0%減、純利益は赤字に転落する見込みだ。同社のIR資料によると①期首からアウトソーシングセグメント(ベネフィット・ワン売却)を廃止②BPOソリューションで大型受託案件がピークアウト③大阪・関西万博でのパビリオン出展費用を特別損失に計上――などが要因である。新体制でのV字回復を期待したい。
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