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地方公務員の兼業促進 総務省、人材確保へ事例明示

総務省は地方公務員の兼業や副業を促す。地方自治体向けの許可基準を示し、営利企業から報酬を得て働くことができると明確にする。現状の原則禁止から緩和し、地域に貢献し課題解決につながる活動を幅広く認める。地方公務員の働き方の自由度を高めて人材確保も目指す。
総務省の分科会が新基準を検討し、自治体に提示する。町おこしや移住者支援などのほか、地域住民の生活維持に欠かせない仕事も認める。例えば過疎地のコンビニでの労働や新聞配達といったケースを想定する。
地方公務員法は①営利企業や団体の役員への就任②営利企業の経営③報酬を得る事業・事務への従事――を原則認めていない。農業や不動産業などで報酬を得る場合は許可が必要になる。
許可の基準を定めてない自治体が4割ほどある。どのような兼業・副業なら許可を得られるのか不明確だ。違反を恐れて本来は認められる業務内容でも制限・自粛する過剰反応につながっている。
新しい基準はどのような業務なら許可できるといった考え方や優良事例を示す。許可する自治体や公務員の不安を和らげ、申請をためらわないようにする。
(日本経済新聞 3月30日)

地方公務員の兼業許可基準として参考になるのが、神戸市が2017年に発足させた「地域貢献応援制度」である。兼業希望者は原則として活動開始予定日の1か月前までに所属長の承認を得て、人事課に許可申請書などを提出する 。許可申請書には、活動の概要、活動の目的、効果、動で活かしたい知識・経験、所属する団体名、団体の概要、団体での役割、活動開始予定日、活動予定日時、主な活動場所、予定報酬年額などを記入。さらに活動計画書も提出し。任命権者は提出書類をもとに審査を行う。
さらに実績報告も義務付けている。兼業許可を受けた職員は毎年度2月末日までに所属長を通して、人事課に実績報告書(活動実績、報酬額)、次年度活動計画などを提出。任命権者は実績報告を受けて許可基準を満たさないと判断した場合は、その理由を付して翌年度の許可を行わない旨の通知を本人に送付する。
 これだけ詳細な制度を設計していけば、齟齬は生じないだろう。職員にとっては手続きが面倒で、実績報告書の提出で透明化が義務付けられ、副業の収入まで把握されることに違和感があるかもしれない。しかし公務員だから、そこは受け入れる以外にないのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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