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給与増へ官民比較見直しを提言 国家公務員のなり手不足解消へ

国家公務員のなり手不足解消に向け、人事院の「人事行政諮問会議」(座長・森田朗東大名誉教授)が24日、提言を発表した。民間企業に見劣りしない給与水準が必要だと指摘。給与改定の仕組みを見直し、民間と比べる際は、規模の大きい企業を対象とするよう求めた。企業規模が大きいほど給与は高くなる傾向にあり、実現すれば国家公務員給与の底上げにつながる可能性がある。
 人事院は今後、具体策の検討を進める。人事院は毎年、民間給与を調査し、国家公務員の給与やボーナスと水準が釣り合う形で改定を勧告。調査対象はかつて従業員100人以上の企業だったが、公務員の厚遇批判を受け2006年、従業員50人以上に広げた。  
提言は、25年度をめどに少なくとも100人以上に戻す必要があると明記。政策の企画立案を担う本省職員は千人以上の企業と比較すべきだとした。従業員数だけでなく、採用で競合する職種を特定し、比較する手法の検討も求めた。管理職らは企業と給与水準が大きく乖離しており「引き上げが必要」と明記した。
(共同通信 3月24日)

人事行政諮問会議の「最終提言」が最も強調して提言しているのは、国家公務員の給与水準の改善である。民間企業に比べて低いので引き上げるべきだというのが提言の趣旨で、とくに重視しているのが幹部職員の給与水準だ。
「最終提言」は次のように主張している
「給与水準などが外部労働市場と比較して大きく乖離していると考えられる幹部・管理職員の給与は、職務基準の人事運営を行 っていくことを前提に、職務分析・評価をベースとし外部労働市場と比較して見劣りしない水準に引き上げるべきである」
外部労働市場との比較では、どの規模の企業との比較が妥当と考えているのだろうか。
現在の比較対象は従業員50人以上だが、従来の比較対象だった100人以上に戻すべきだと提言している。小規模企業ではなく中小企業との比較である。
さらに政策の企画立案や高度な調整などに関わる本府省職員については「その業務の困難性や特殊性、採用において競合する企業規模などを詳細に分析・評価した上で、それらの職務と類似する職責を担う民間企業の職種・職位を特定」と比較対象の企業規模を引き上げることに言及した。そのうえで「少なくとも1000人以上の企業と比較すべきである」と大手企業との比較を提言した。
そもそも国家公務員を選ぶ人は現行の給与水準を承知のうえで奉職するのだろうが、それでも働いているうちに、割に合わないと思うようになるようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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